動物病院の経営2024.05.23

獣医療広告制限ガイドラインの見直しについて

令和5年10月13日付けで、「獣医療法施行規則の一部を改正する省令」(令和5年農林水産省令第52号)が公布され、令和6年4月1日に施行されました。この改正により獣医療の広告制限の特例に関する事項が追加され、これに伴い獣医療広告ガイドラインも改訂されました。

この記事では獣医療広告制限の見直しに対応いただくために、ポイントをまとめました。
ぜひ皆様の動物病院経営にも活かしていただければ幸いです。

目次

  1. そもそも獣医療法における広告とは
  2. 技能・療法に関する広告制限について
  3. 農林水産大臣の指定する者が行う獣医師の専門性に関する認定について
  4. 高度な検査、手術その他の治療を行うことについて
  5. マイクロチップの装着について
  6. 愛玩動物看護師に関する広告について
  7. 技能、療法又は経歴に関わらないことについて
  8. 注意したい広告NG例について
  9. 最後に

そもそも獣医療法における広告とは

獣医療法において、「広告」は下記の3要件を満たすものと定義されます。

  • 誘引性:飼育者等を自院へ誘引するもの
  • 特定性:獣医師の氏名や施設の名称が特定可能であるもの
  • 認知性:一般人が認知できる状態にあるもの


これらの3要件のうち、どれか一つでも満たされていないものは獣医療法において「広告」には該当しません。

具体的に見ていきましょう。
一般的に「広告」に該当するものは、

  • 看板
  • チラシやポスター、葉書
  • メール
  • テレビCM
  • 新聞広告
  • インターネット広告
  • SNS広告やSNSでの情報発信



「広告」に該当しないものは、

  • 新聞や雑誌の記事 (記事内広告とは異なる)
  • 論文や学会発表
  • インターネット上のホームページ
  • 行政による広報やポスター



などです。
もちろん、個別の理由により若干の判断が異なる場合はありますが大まかな参考にしてください。

技能・療法に関する広告制限について

獣医療法第17条第1項では、専門的な知識を持たない飼育者などを守るために、「獣医師又は診療施設の業務に関しては、その技能、療法及び経歴に関する事項を広告してはならない」と規定しています。

    技能、療法に該当する事項とは、
  • 疾病の診断(診断書の交付),治療
  • 指示書、処方せんの交付
  • 採血,注射,放射線照射,麻酔,手術,縫合・抜糸,帝王切開,投薬
  • 遺伝子検査
  • などがあげられます。
    反対に、技能、療法に該当しない事項は
  • 動物の保定
  • 健康相談,保健指導
  • 体温測定,脈拍測定,呼吸数測定,血圧測定
  • 血液や尿等の検体の検査
  • トリミング、シャンプー
  • などです。



ただし、専門科名及び学位又は称号並びに獣医療法第17条第2項の規定により、省令で定めるものは広告制限の例外(広告が可能な事項)とされています。

具体的には、

  1. 専門科名
  2. 学位、称号
  3. 獣医師免許を受けていること及び診療施設を開設していること
  4. 農林水産大臣の指定する者が行う獣医師の専門性に関する認定を受けていること(NEW)
  5. 高度な検査、手術その他の治療を行うこと(NEW)
  6. 医療機器を所有していること
  7. 牛の体内受精卵移植用に供する受精卵の採取
  8. 犬又は猫の避妊去勢手術を行うこと
  9. 予防注射を行うこと
  10. 寄生虫病の予防措置を行うこと (NEW)
  11. 飼育動物の健康診断を行うこと
  12. マイクロチップの装着を行うこと (NEW)
  13. 獣医師の役職及び略歴 に関すること (NEW)
  14. 家畜防疫員であること
  15. 県家畜畜産物衛生指導協会等が行う自衛防疫事業の指定獣医師であること
  16. 獣医療に関する一般社団法人又は一般財団法人の会員であること
  17. 農林水産大臣の指定する診療施設であること
  18. 愛玩動物看護師の勤務する診療施設であること(NEW)
  19. 農業共済組合等の嘱託獣医師又は指定獣医師であること

農林水産大臣の指定する者が行う獣医師の専門性に関する認定について

飼育者等が提供される 獣医療サービスを正しく理解し適切に選択できるように、獣医師の「専門性」「略歴「役職」が新たに広告可能になりました。
具体的には、○○認定△△専門医、○○動物病院 院長、○○大学 卒業などが対象です。

高度な検査、手術その他の治療を行うことについて

一般診療、高度な診療とも診療内容を広告する場合は、

  • 飼育者等が広告内容について照会できるよう問合せ先を記載する
  • 通常必要とされる診療内容、費用 (標準的な費用など 別途発生する費用や内訳)等の情報を提供する
  • 診療に係る主なリスク、副作用等の情報を提供する



今回の改訂により、治療内容 (診療の内容、診療期間及び回数、通常必要とされる治療など)が新たに広告可能となりましたが、表記には上記3点を守る必要があります。

マイクロチップの装着について

飼育者等が提供される獣医療サービスを正しく理解するために、マイクロチップの装着を行うことを広告する場合は。マイクロチップ装着時に登録が必要な旨を記載する必要があります。

また、ワクチンや予防薬同様にマイクロチップ製品の品名を広告することはできません。

NG例)
〇〇(品名)によるノミダニ予防を行っています。
当院では、×× (品名)のマイクロチップを装着しています。

愛玩動物看護師に関する広告について

愛玩動物看護師が勤務していることは広告可能ですが、国家資格者である愛玩動物看護師は、特定の診療行為ではなく獣医師による診療の補助が主な業務であるため、広告における愛玩動物看護師に関する事項については限定的にすべきであり、診療の補助として特定の診療行為を行っている旨を広告することはできません。

    (広告可能の例)
  • 当病院では、愛玩動物看護師が○名います。
  • 当病院では、愛玩動物看護師とともにチーム獣医療に取り組んでいます。


    (広告不可の例)
  • 当病院では、愛玩動物看護師が採血を実施しています。
  • → 特定の診療行為についての広告不可。

技能、療法又は経歴に関わらないことについて

獣医療広告ガイドラインにより。従来通り技能、療法又は経歴に関わらないことについては
広告可能です。

    (広告可能の例)
  • 診療施設の開設予定日
  • 診療施設の名称、住所及び電話番号
  • 勤務する獣医師の氏名
  • 診療日、診療時間及び予約診療が可能である旨
  • 休日又は夜間の診療若しくは往診の実施
  • 診療費用の支払い方法(クレジットカードの使用の可否等)
  • 入院施設の有無、病床数その他施設に関すること
  • 診療施設の人員配置
  • 駐車場の有無、駐車台数及び駐車料金
  • 動物医療保険取扱代理店又は動物医療保険取扱病院である旨
  • ペットホテルを付属していること、トリミングを行っていること、しつけ教室を開催していること
  • など

注意したい広告NG例について

獣医療法では、低価格診療等による誘因や不適切な診療による飼育動物の被害を防ぐため、比較・誇大広告や費用広告の禁止を規定しています。

①比較広告
例)
〇〇病院よりも治療が上手いです。
有名人も通うほど人気の動物病院です。

②誇大広告
例)
〇〇治療の効果は素晴らしいです。
××地域で最大級の動物病院です。

③費用にの安さに関すること
例)
業界最安値の治療を行っています。
避妊・去勢手術は××円〜から実施可能です。

最後に

今回の改訂は、制限を厳しくしたものではなく、むしろ動物病院にとって有利となるように制限を緩和したものとなります。
獣医療法による広告の制限を知らないうちに破ってしまうと、

  • 50万円以下の罰金
  • 業務停止
  • 獣医師免許の取り消し



などの大きなペナルティが科される場合があるので、速やかに貴院の広告・HPの見直しを行い、適切な情報発信を行っていただければ幸いです。
弊社では、獣医師を含む専任スタッフが病院HP制作や広告運用を行う豊富なサービスをご用意しているので、是非とも弊社にご相談ください。

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