獣医師の待遇と展望2025.03.25
【2025年最新】賃金構造基本統計調査からみる獣医の年収や市場の見通し

動物病院の求人票を見ると、病院によって年収や給与手当に大きな差があることに気づくことでしょう。一方で、一昔前は公務員の獣医師は給料が安いと言われていましたが、人材確保のため給料を引き上げたり、初任給調整手当などの制度があったりするお陰で、特に若いうちは公務員の獣医師と臨床獣医師の給料の差はあまりなくなっています。
この記事では、令和5年賃金構造基本統計調査を元に、獣医師全体の年収や市場の見通しなどをご紹介いたします。これから就職活動を始める獣医学生も転職を考える獣医師も、給与や見通しを知っておくことは大切です。是非参考にしてみてください。
令和5年賃金構造基本統計調査の結果
賃金構造基本統計調査は、主要産業に雇用される労働者の賃金について、雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別に明らかにするもので、毎年調査が行われています。
今回は、令和6年6月分の賃金等(賞与、期末手当等特別給与額については原則として令和5年1月から令和5年 12 月までの1年間)について、令和6年7月に調査が実施された結果から、獣医師に関係するデータを抜粋して紹介します。
また、厚生労働省が提供する職業情報提供サイト job tag(日本版O-NET)に掲載されている、令和5年賃金構造基本統計調査の結果を元に作成されたデータも参考にしています。
獣医師全体の調査結果
・賃金(年収):685.7万円
・平均年齢:38歳
・労働時間:167時間
年齢別の年収グラフから、
25〜29歳の年収:488万円
30〜34歳の年収:584.5万円
35〜39歳の年収:707.76万円
40〜49歳の年収:845万円前後で一旦グラフの上昇が横ばいに
50代に入るとまた年収が上昇し始め、55〜59歳の1165.68万円が一番高い
という結果が読み取れます。
獣医師の賃金を月額に直すと57.1万円になります。一般労働者(短時間労働者以外の常用労働者)の賃金(月額)が31.83万円であることから、獣医師の賃金は、数ある職種の中では高いことが分かります。
小動物臨床は、30代半ばから開業する獣医師が増えてきます。50歳になると開業に必要な負債も返し終わって経営が安定して来ることから年収が高くなり、この年代では公務員と開業獣医師の年収の差は開いていることが予想されます。
市場の見通しについて
獣医師の仕事や賃金に対する今後の見通しを説明します。
獣医師の需要・給料は今も増えている
農林水産省から毎年公表される飼育動物診療施設の開業届出状況(診療施設数)によると診療施設の数は毎年100〜200件のペースで増えています。毎年各獣医科大学から合計約1,000人が卒業し獣医師免許を取得しますが、獣医師を辞める人は1,000人よりははるかに少ないため、獣医師の数はどんどん増え続けていきます。
小動物臨床では、医療技術が進歩し高度で費用もかかる治療を望む飼い主が増えたことから、獣医師のニーズは相変わらず高いです。
公務員の獣医師は、主に北海道や東北、九州など家畜が多い県で慢性的に人手不足で、人材確保に苦労しています。しかし、安定志向や近年のライフワークバランス推進で、出産・育児と仕事を両立したいと考えている女性が働きやすい職場として、公務員を視野にいれる学生も増えてきています。
動物病院が毎年増えていること、公務員の人材確保のため、獣医師の賃金は今後も上がっていくことが予想されます。
まとめ
令和5年賃金構造基本統計調査の結果からわかる、獣医師の賃金や市場の見通しについて解説しました。
- 獣医師の賃金は一般労働者と比較して高い水準にある。
- 新卒〜5年以内の若い獣医師も、488万円程度の年収が平均として見込まれる。
- 獣医師の需要は、どの分野においてもまだ高く、それに伴い賃金の上昇も予想される。
就職、転職活動をされる方はぜひ参考にしてください。