動物看護師2023.06.29
愛玩動物看護師の国家資格化。賃金はどう変わる?
愛玩動物看護師が国家資格になり、資格を取得していない補助スタッフと可能な業務の差ができました。もちろん国家資格を取得した愛玩動物看護師と補助スタッフ間には給与の差もでます。今回は愛玩動物看護師の国家資格化で起こる給与の変化についてお話しします。
愛玩動物看護師の平均給与
愛玩動物看護師は令和5年2月19日が第1回目ですので、国家資格を取得して働き始めた愛玩動物看護師の給与などの統計を出すことはまだできません。昨年度のものを参考に進めていきたいと思います。
厚生労働省の職業情報提供サイトJobtagによると動物看護師の平均給与は312万円で、
賃金の月額平均は18.5万円です。もちろん地域によって平均賃金は変わります。
(参照:職業情報提供サイトJobtag)
就職1年目の年収は約240万円、もっとも年収が高くなる年齢は55~59歳で391.04万円です。また、給与月額で最も多いのは21.61万円で全体の約18%にあたります。
また、「日本動物看護職協会の動物看護師の勤務実態に関するアンケート調査」によると、月給の額で最も多いのは15~20万円、年収は200万円未満が最も多いという結果になりました。
日本人の平均年収が約433万円ですので、これらと比較すると動物看護師の年収は低いといえるでしょう。
今後の愛玩動物看護師の給与の推移予測
今回の国家資格化で年収は上昇することが見込まれます。
国家資格となる際に、有資格者が可能な業務がある程度明記されました。「採血・投薬・マイクロチップ挿入・カテーテル採尿 など」がそれにあたります。このように愛玩動物看護師資格の保有者ではないとできない業務ができたことによって、無資格者との間に線引きがなされました。それに伴い給与面で何らかの+αは必要です。
給与はどのように決めるのが良いのか
国家資格を持った=実際の業務レベルが上がるという等式は成り立たないでしょう。何らかの評価基準を設け、実際の業務レベルが上がったと評価されて初めて給与が上がると考える方が妥当でしょうし、適正な評価につながります。
まず一番最初に行うことは、国家資格を持った動物看護師と国家資格を持っていない看護助手の「業務範囲」、「責任の範囲」をはっきりさせることが必要で、それを全員が把握します。無資格者の中には、有資格者しかできなくなった業務を行うことができる者がいるかもしれません。しかし、法律で定められたのでやってはいけないという事実を把握しなければならないでしょう。
次に、愛玩動物看護師と看護助手それぞれの、技術評価、知識評価、業績評価、情意評価などの評価基準を作ります。評価基準に従って給与やランクを決めていく方が、今後の意欲にもつながりますし、正当に評価されたというモチベーションにつながります。
国家資格を取得したということに対しての評価は重要ですが、取得自体が最終目標になってしまうと、最悪の場合従業員の成長にはつながらなくなってしまいます。国家資格取得は愛玩動物看護師として責任をもって飼い主様やペットに対して接するために必要な関門です。ようやくスタートラインに立ったと考えるべきで、ゴールではありません。
レベル分けができれば、それぞれのランクに合わせて手当として支払う方が正当に評価できるのではないでしょうか。
まとめ
愛玩動物看護師が国家資格化されたことで、給与がアップすることは間違いないでしょう。しかし、どの程度のアップにするのかは判断基準が難しく頭を悩ませる問題です。今回紹介したように、評価基準を作ることで何をどのように努力すればよいのかということもわかりやすくなります。さらに、評価基準がはっきりすることで評価に対する平等感が出ます。
正当評価はモチベーションにダイレクトにつながる重要な問題です。評価基準を作成し、全従業員と共有し不透明性をなくしていきましょう。