獣医師の職域2024.06.04

動物園の獣医師になるには?仕事内容、なり方、平均年収を解説

獣医師を目指した理由として、子供のころに動物園に行きライオンやキリン、ゾウなどの野生動物を見たことがきっかけということも少なくないと思います。獣医師免許を取得することは必須ですが、動物園の獣医師になるためにはどのようにすればよいのでしょうか?仕事の内容や平均年収についても紹介いたします。

目次

  1. 1. 動物園の獣医師の仕事
  2. 2. 動物園の種類
  3. 3. 動物園に就職するには?
  4. 4. 動物園獣医師の年収
  5. 5. まとめ

1. 動物園の獣医師の仕事

動物園の獣医師は、具体的にどのような仕事を行うのでしょうか。キャリアや働く動物園によって仕事の内容は変わりますが、主に獣医師が担当する業務内容は以下の通りです。

①病気の予防

野生動物は小動物のように治療を行うことが難しい動物です。野生動物は弱いところを見せてしまうとほかの動物に狙われてしまいますので、体調不良が起こっても隠そうとする傾向があります。また、獰猛な動物の治療は獣医師やその他のスタッフに危険が及びます。そのため、動物が病気にならないように予防していくことが最も重要になります。
定期的な健康診断、可能な場合はワクチン接種などが重要な予防になります。
関係がなさそうですが、その動物の本来の生活環境を整えることも健康管理を行う上で非常に重要と言えるでしょう。

②病気の治療

食欲不振や元気消失などの体調不良が起こったときや外傷などの検査や治療を行います。
獣医師自身が体調不良に気づく場合もありますが、飼育員の方からの報告によって治療にあたる場合もあります。犬や猫と言った小動物のように容易に検査を行うことが難しい動物がほとんどです。必要な場合は麻酔下で検査や治療を行う場合もあります。

③種の保存

動物園の役割の一つとして、種の保存というものがあります。絶滅の恐れがある動物を飼育し、繁殖させることで種が失われないように保護していく重要な役割です。少しでも動物が暮らしやすいように環境を整えたり、その動物にとって必要な栄養素が十分満たされるように配慮していくことが大切です。獣医師と飼育員の間で話し合いを行い、繁殖のサポートを行っていきます。

④教育活動

動物園は本や映像からでは得ることができない、生き物のニオイや大きさに対する体験、実際の動き、鳴き声を体験できる場所です。動物が生活しているエリアには住んでいる地域やその動物の特徴が書かれた看板が備え付けられていますし、ガイドの方が説明してくださる場合もあります。野生の生き物が住む場所が徐々に少なくなってきていることを動物の生活している地域の現状と併せて知ることで、今後私たちがどのようにしていくことが大切なのかを考えていくきっかけを作ることも動物園の役割です。

2. 動物園の種類

動物園には種類があり運営の仕方によって分かれています。誰が運営しているのかによって就職の方法も変わります。

①自治体が管理する動物園

自治体が管理する動物園は「公立動物園」と呼ばれます。
例えば、京都市動物園は京都市が運営管理している動物園です。そのため、運営費用は入園料、寄付金と税金で賄われています。
京都市動物園の運営について(PDF)

②外部団体が管理する公立動物園

公立動物園でも管理を行っているのは外部団体という動物園もあります。
例えば、東京都においては「井の頭自然文化園、恩賜上野動物園、多摩動物園」がそれにあたり、公益財団法人東京動物園協会が管理を行っています。
都立動物園・植物園一覧|東京都建設局

③民間の動物園

民間団体が運営する動物園で、公立動物園に比較すると規模が小さいことが多いです。
移動動物園が身近な例で、一度は経験したことがある方が多いのではないでしょうか?
大型の野生動物というよりも、山羊や羊、ポニー、モルモット、ウサギと言った比較的小さめの動物が多いでしょう。

3. 動物園に就職するには?

動物園に就職したいと考えた場合、どのようにアプローチすればよいのでしょうか?動物園の種類別に確認していきましょう。

①自治体の動物園

自治体が管理している動物園での就職を希望する場合、その自治体の公務員試験に合格し公務員になる必要があります。公務員試験は試験の時期が早いため、あらかじめ準備しておかないといけません。公務員試験に合格しても、配属先の希望が通らない場合もありますので、念頭に入れておく必要があるでしょう。

②外部団体が管理する公立動物園

外部団体が管理する公立動物園の場合、管理団体への就職という形になります。動物園の獣医師の募集はあまり多くなく、管理団体からの求人はさらに少ない可能性があります。就職できる可能性は決して高くないので、まめにチェックし、他の自治体の動物園の求人も探しつつ、選択肢の幅を広げておきましょう。

③民間の動物園

民間企業が運営する動物園へ就職を希望する場合は、その民間企業の会社員として就職することになります。民間動物園は公立動物園に比較して規模が小さいため、決して求人が多いわけではありませんし、即戦力を必要とする場合が多いので、新卒の獣医師をいちから教育していくつもりの求人はあまり期待できないでしょう。

いずれの場合も、求人は非常に少なく毎年求人が出るとは限りません。別の動物病院に勤務しながら、実際に求人が出るのを待ってでも、動物病院獣医師の職に必ず就くという固い意志を持ち夢をかなえた獣医師もいます。
また、学生時代から動物園でアルバイトをして、コネクションを作っていくことも重要でしょう。たとえ、無給でも貴重な勉強をさせてもらいに行くのだという姿勢も大切です。

4. 動物園獣医師の年収

動物園の規模や運営団体によって異なりますが、動物園で働く獣医師の平均年収は450万円前後が相場です。もちろん動物園で経験を積んだ経験者であれば550~620万円ほどの年収になることもあります。
小動物病院の獣医師の年収はキャリアによりますが、450~750万円が平均と言われています。経験を積み、技術レベルが上昇すれば給与が上昇するのは動物園でも小動物の動物病院でも同じですが、小動物臨床に携わる獣医師の方が年収が上回るのではないでしょうか。

5. まとめ

動物園の獣医師のなり方、年収について解説しました。動物園の獣医師は狭き門です。動物園の種類によって就職方法が異なりますので、動物病院の種類はしっかり確認するようにしましょう。公務員試験は市によって異なりますが、1次試験の応募締め切りは毎年6月上旬で、1次試験は6月末から7月にかけて行われます。1次試験合格者は2次試験に進みます。求人のチェックはまめに行い、動物園にアルバイトに行くなどしてコネクションもしっかり作っていきましょう。

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