獣医師の資格2025.04.08
日本で5校目の取得 ヨーロッパ獣医学教育機関協会(EAEVE)認証を取得した大学で学ぶメリットを解説

2024年12月、酪農学園大学が日本で5校目のEAEVE認証取得を発表しました。日本の獣医学教育は大学卒業後に専門教育を受ける欧米と比べ、制度の違いや実習時間の不足から国際的に遅れていると評価されることもあります。そんな中、日本でEAEVE認証を取得した大学が増えたことは日本の獣医学教育にとって好ましいニュースです。
この記事では、EAEVEとは何か、EAEVE認証を受ける意義、EAEVEを習得している大学と、その大学を卒業するメリットをわかりやすく解説します。獣医学部進学を目指す学生にも役立つ内容になっているので、是非参考にしてみてください。
EAEVEとは
EAEVEはヨーロッパ獣医学教育機関協会(European Association of Establishments for Veterinary Education)の略称で、EU加盟国において獣医師の教育を標準化する目的で1988年に設立された団体です。現在では、獣医師教育機関の国際的な評価機関としての役割も果たしています。
EAEVE会員施設は世界各地にある
現在、EAEVEのホームページに掲載されている会員施設はEU加盟国に限らず、世界各国に広がっています。
- アジア:日本、インドネシア、タイなど
- アフリカ:エジプト、チュニジア
- 南アメリカ:ブラジル
北アメリカの国は、会員施設に掲載はありません。
EAEVE認証を受ける意義
EAEVE認証は、大学などの教育機関で行われている獣医学教育が一定水準を満たしていて、国際的に通用する知識や技術のある獣医師を養成できると認められたことを意味します。会員施設同士は、スタッフや学生の交流を促進して、会員施設間での情報交換や協力を強化することも求められます。
EAEVE認証を取得している日本の大学
日本では2025年3月現在、国立大学4校、私立大学1校の合計5校の大学がEAEVE認証を取得しています。
- VetNorth Japan(北海道大学、帯広畜産大学):2019年取得
- VetJapan South(山口大学、鹿児島大学):2019年取得
- 酪農学園大学:2024年取得
VetNorth JapanとVetJapan Southは、2校が共同して運営している獣医学課程で、学生は入学試験を受けてそれぞれの大学に入学します。入学後は、学生や教員がキャンパスを移動したり、リモートでの講義を受けたりして、同一のプログラムで教育を受けます。
私立大学のEAEVE取得は酪農学園大学がアジア初であり、1つの大学が単独でEAEVEを取得するのも今回がアジア初となります。
EAEVE認証を受けている大学を卒業するメリット
EAEVE認証を取得した大学で教育を受けた卒業生は、イギリスでは獣医師資格認定試験を受験せずに獣医師免許を習得できます。
もしイギリスで獣医師免許を取りたかったら、現地の獣医学教育機関で学び、現地の試験を受ける必要があるため、日本でEAEVE認証を習得している大学を卒業することは大きなメリットになります。しかし、イギリス以外の国では同じ対応はできず、それぞれの国によって獣医師免許の取得に必要な教育や条件は異なることを覚えておきましょう。
海外の獣医師免許を取得する予定がなくても、国際的に教育カリキュラムが評価されている大学で学ぶことは、自分の将来のビジョンを広げることにも繋がります。
まとめ
この記事では、EAEVE(ヨーロッパ獣医学教育機関協会)認証について、EAEVEとはなにか、EAEVE認証を取得している日本の大学で学ぶメリットや活かし方を紹介しました。
- EAEVE認証は、会員施設に対し国際的に通用する獣医師を育成する教育を行っていることを証明する。
- 日本では、北海道大学、帯広畜産大学、山口大学、鹿児島大学、酪農学園大学の5校がEAEVE認証を取得している。
- EAEVE認証を取得した大学を卒業すると、イギリスの獣医師免許を取得するときに認定試験が不要となることは大きなメリット。
EAEVE認証を大学選びのポイントの1つに入れてみてはいかがでしょうか。