獣医師の資格2022.03.01

どうしたら獣医師になれる?獣医師資格の取得に必要なこと

獣医師の資格を取得するために必要なこととは、いったい何でしょうか?

目次

  1. 獣医師とは
  2. 獣医師資格を取得するには
  3. 獣医師免許取得後の働き方
  4. 獣医師に向いている人/向いていない人
  5. まとめ

獣医師とは

獣医師の仕事は動物のお医者さん!というイメージがありますが、実はいろいろな場所で活躍できる仕事です。
動物病院での診療の他、動物園や農協(産業動物の診療)、製薬・食品会社、自治体(保健所なや食肉検査場)、検疫所など…その資格が使用できる職場は多岐に渡ります。
犬猫などの小動物の診療はよくあるイメージだと思いますが、牛や豚・鶏など畜産動物の診療や時には飼育指導、畜産動物が肉へ加工される際の病気や感染症の有無の検査、動物と人間共通の感染症対策、検疫所では海外から病原体が侵入しないように防疫を行う…等、獣医師は私達の生活を最前線で守っているといっても過言ではありません。
獣医師の社会的需要は増していますが、実際に必要な獣医師の数は不足しているため、獣医師国家試験資格を持っていれば就職はほぼ100%可能です。

獣医師資格を取得するには

獣医師国家資格を取得するためには、まず獣医学部を設置している大学に入学し、獣医学科課程を6年間終了する必要があります。国家試験の合格率は大学によって、年度によって少しずつ異なりますが、それほど大きな差はありません。

①獣医学科のある大学で学ぶ
獣医学科を設置している大学はあまり多くはありません。他の医療系学部である医学部や歯学部、薬学部よりも大学数が少なく、大学の地域に少し偏りもあります。
国公立/私立では卒後の進路にそれほど違いはありませんが大学によって得意分野は異なってきますので、大学卒業後明確に進みたい分野があるのであればそれに特化した大学を選ぶことをおすすめします。

・国公立大学
全国で獣医学科を設置している国立大学は10校、公立大学は1校です。獣医師になるために国立/公立大学を目指すと、この全国11大学のどこかに進学しなくてはなりません。
私立大学に比べて学費が安いのが魅力ですが、定員人数が少なく競争率が高いです。大都市(東京・大阪)にある大学は、東京大学・東京農工大学・大阪府立大学のみしかありません。

・私立大学
全国で獣医学科を設置している私立大学は6校です。地域のばらつきもあり、北海道に1校、青森に1校、関東地方に3校、四国地方に1校となります。
大学によって学費は異なりますが、6年間で1000万〜1500万円ほどかかることもあります。出身地域に大学があるとは限らないため、1人暮らしをして大学へ通っている人も多い印象です。

・海外の大学
近年では海外の獣医大学を卒業して、日本で獣医師国家試験を受験し、獣医師として活躍されている方もいます。海外の大学を卒業していても、日本の国家試験に合格すれば日本で獣医師として働くことができます。
別の言語で獣医学を学ぶので、国家試験前に日本語の専門用語との互換を行わなくてはなりません。しかし同時に英語や現地の言葉を勉強できるほか、現地の獣医師として仕事をできる選択肢もあります。
日本の獣医師免許は日本国内のみで有効なので、基本的に他国で診療を行うことはできません。しかし一度獣医師資格をとると他国でも診療が可能な国もありますので、海外でも活躍したい方は海外の大学で勉強することが一番良いでしょう。
オーストラリアやフィリピンの獣医大学は、毎年日本人の国家試験受験者がいるイメージです。
大学によって学費が異なる上、入学に必要な要件も違います。また日本の国家試験受験に必要な獣医学科課程を受講できるのかも大学によって異なりますので、受験前にしっかりと調べる必要があります。

②卒後獣医師国家試験に合格する
獣医師資格を得るためには、獣医学科大学を卒業したあと獣医師国家試験に合格する必要があります。獣医学科6年生の1年〜半年はこの国家試験の勉強にあてる大学が多いです。

・試験内容
出題基準は「獣医療の基本的事項」、「獣医学の基本的事項」、「衛生学に関する事項」、「獣医学の臨床的事項」の4つのカテゴリから、実地問題(画像問題)を含め合計330問が出題されます。

・合格基準と合格率
令和3年は2月16日・17日に実施されました。受験者数1,146人のうち合格者は953人、合格率は83.2%でした。

獣医師免許取得後の働き方

獣医師の働き方は様々なものがあります。公務員から企業、個人経営の病院など様々な職場がありますので、自分にあった働き方を見つける事ができます。キャリアを磨きながら、家庭との両立をはかるのであれば、自分の生活スタイルにあった働き方や勤務先を選ぶのも大切なポイントです。

①臨床獣医師
臨床獣医師は、主に動物の診察・治療を行う獣医師です。

・小動物獣医師…家庭で飼育されている犬や猫、ハムスターやうさぎなどのエキゾチックアニマルなどを診療する獣医師です。大学などの2次施設のほか、街中の動物病院や企業が展開する動物病院などに所属します。多忙な施設も多く、激務な場合も多いです。専門分野を極めたいのか、満遍なく診療ができるようになりたいのか、患者さんのホームドクターになり信頼関係を深めながら診療がしたいのか…等で自分にあった診療所を選ぶ必要があります。

・大動物(産業動物)獣医師…牛・馬・豚・鶏・などの産業動物を診療する大動物(産業動物)獣医師です。各地方自治体や協同組合、個人病院などが求人募集をしています。特に地方の大動物獣医師はなり手が少なく、とても需要が高いです。

・動物園/水族館獣医師…動物園や水族館など特殊な動物を飼育している施設に所属して、診療を行う獣医師です。毎年募集が安定的にある施設は少なく、競争率も高めです。公務員として動物園/水族館に配属になる場合もありますが、やはり有名施設は人気があるため希望しても配属になれないことも多くあります。

②公務員
各自治体や農林水産省に所属する獣医師です。採用されるためには、獣医師免許または獣医師国家試験の受験資格を持ち、獣医系技術職員採用試験(公務員試験)に合格しなければなりません。獣医師として診療を行う現場もあれば、デスクワークの事務作業がメインの職場、全く獣医師業務と関係のないことを行う職場もあります。休みや福利厚生はきちんと確保されますが、配属が希望どおりにならない場合もあります。

③民間企業
製薬会社、食品会社、ペットフードの研究や開発など、獣医師の資格を活かせる一般企業は数々あります。サラリーマンとしてスーツを着て営業を行ったり、研究者として仕事をしたり、企業によって獣医師のニーズは様々です。

獣医師に向いている人/向いていない人

獣医師という専門的な職業は、向いている人と向いていない人がいます。どのような人が獣医師に向いているのでしょうか?

①向いている人
・体力がある
・動物が好き
・冷静な判断ができる
・勉強が好き
・人と話すことが好き

獣医師は、動物に対する愛情を持ちながらも落ち着いて冷静な判断ができ、体力があり勉強し続ける心を持てる人が向いています。臨床の現場では診察をする上で患者さんから情報を聞き出さなくてはいけませんので、他人と話すスキルもとても重要です。
獣医師という職業は、動物全般に興味を持ち、常に日進月歩の医療知識と技術を更新し続け勉強していく姿勢が必要です。更に過度に感情移入しすぎて判断を誤ることはあってはなりません。
また獣医師は頭を使うだけでなく体力も必要な仕事のため「体力があること」も大切な素質となります。

②向いていない人
・動物が苦手
・話すことが苦手
・慌てやすい、パニックになりやすい
・勉強が嫌い

向いている人の逆が、向いていない人といえます。主に人の公衆衛生や動物の命を扱う仕事ですので、責任感をもって取り組める人でないと獣医師の仕事は向いていないと言えます。

まとめ

獣医師免許を取得するには、しっかりとした目標設定と意欲を大学入学時より持ち続けることが必要です。どのような仕事をしたいのか、大学で勉強していく上で変化していく人もとても多い職業ですが、獣医師は様々な仕事に携わることのできる魅力的な資格と言えるでしょう。

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