獣医師の情報発信
公開日:最終更新日:
インターペット大阪2026レポート|動物病院経営者・獣医師が注目したいブース&トレンド

2026年6月20日(土)・21日(日)、インテックス大阪で「第4回インターペット大阪」が開催されます。
昨年に続き、今年も現地に足を運ぶ予定です。
来場後にこの記事を更新して、動物病院の経営・運営に携わる方々に向けた視点でのレポートをお届けしますので、ぜひチェックしていてください。
目次
獣医師・院長が注目すべき理由
インターペットはペット愛好家向けのイベントとして知られていますが、医療機器・診断機器・人材サービス・IT・保険といったB2B色の強い出展も多く、院長や経営層にとって業界トレンドをキャッチアップする絶好の機会でもあります。
・最新の動物用医療機器・設備を実際に見て触れられる
・他院のスタッフや経営者との情報交換ができる
・採用・人材サービスの最新動向が把握できる
ペット業界全体の"今"を肌で感じられる場として、年に一度の視察として活用されている院長も多いようです。
開催概要
- 日程
- 2026年6月20日(土)・21日(日)
※6月19日(金)はビジネス商談日 - 会場
- インテックス大阪(大阪市住之江区南港北1-5-102)
- 公式サイト
- https://interpets.jp/public/
※来場後、動物病院経営者・獣医師目線でのレポートに更新予定です。お待ちください!
イベントレポ
6月開催が恒例となったインターペット大阪。
会場に足を踏み入れると、「もう前回から1年が経ったのか」と毎年思わされます。
ペット業界を取り巻く変化のスピードは年々加速していますが、その"1年分の変化"を一気に体感できるのがこの展示会の醍醐味です。製薬・医療機器・フード・テクノロジーと、業界のあらゆるプレイヤーが一堂に集まるインターペット大阪は、多忙な獣医師や動物病院の院長にとって、現場を離れることなくトレンドを俯瞰できる貴重な機会でもあります。
今年は初日のビジネス商談日のみペット同伴での入場が不可となりました。
賑やかさという点では少し寂しさを感じましたが、一方で出展企業の担当者とじっくり話しやすい落ち着いた雰囲気があり、純粋に商談・情報収集の場として活用しやすい環境が整っていたとも言えます。
展示内容そのものは例年以上の充実ぶりで、AIを活用した健康管理サービスや飼い主向けセルフチェックツールの台頭、猫マーケットの急拡大を象徴する新ゾーンの設置など、動物病院の経営・診療にも直結するテーマが随所に見られました。
以下では、獣医師・動物病院の院長に特に注目していただきたい展示を厳選してご紹介します。
千寿製薬:動物眼科領域の啓発ブース

千寿製薬のブースでは、来場者が目の健康をその場でセルフチェックできるコーナーが設けられていました。
同社は動物用眼科薬メーカーとして国内でも高いシェアを持ちますが、今回の展示は製品紹介にとどまらず、飼い主への眼科疾患啓発という視点が強く打ち出されていた印象です。
白内障・緑内障・ドライアイといった眼科疾患は、高齢ペットの増加に伴い来院頻度が高まっている領域のひとつ。
「飼い主自身が気づく」導線を製薬会社が担うことで、かかりつけ医への受診につながるという構図は、動物病院にとってもプラスに働く流れです。
眼科に特化した診療・設備投資を検討している院長には、改めてマーケットの広がりを確認できるブースでした。
日東紡績:「ネコプロ」——泌尿器疾患の早期発見を飼い主の手に

猫の泌尿器疾患(CKD・尿石症など)は、多くの動物病院で来院理由の上位を占める疾患群です。
日東紡績が展示した「ネコプロ」は、自宅に尿検査キットが届き、自宅で採取した尿を検査キットに滴下してアプリで読み込むと、自宅にいながらスマートフォンで愛猫の腎臓・膀胱の健康状態をセルフチェックできるアプリ。
こうしたデジタルツールの普及は、受診のきっかけを増やすという点で動物病院にとって追い風になり得ます。
一方で、「アプリで問題なしと出た」という誤った安心感が受診を遅らせるリスクも否定できません。
かかりつけ医として、こうしたツールの特性を正しく理解し、飼い主への情報提供に活かす姿勢が今後求められてくるでしょう。
新設ゾーン「インターキャッツ」——猫専門マーケットの本格化
今年の目玉のひとつが、猫向け商材のみを集めた専用ゾーン「インターキャッツ」の新設です。
猫と飼い主のみ入場可能という特別なエリアで、キャットフード・ケア用品・医療関連製品が集中展示されていました。
国内の猫の飼育頭数が犬を上回って久しく、猫専門外来・猫専門病院の開業も増加傾向にあります。
このゾーンの新設はそうしたマーケットの成熟を象徴する動きであり、猫診療の強化・専門化を経営戦略として検討している院長にとっては、製品・サービスのトレンドを一気に把握できる視察価値の高いエリアでした。
猫に特化した診察室づくりや待合環境の整備に参考になる展示も多く見られました。
AIと終活——ペット産業を貫く二つの潮流

今年特に存在感を放っていたのがAIを活用した製品・サービス群です。
健康管理アプリ、自動ブラッシング機、自動お掃除ロボットなど、日常のペットケアにテクノロジーを組み込む流れが加速しており、AI関連ブースには来場者が列をつくる場面も見られました。

こうした製品は基本的に飼い主向けですが、「飼い主がペットの健康データを継続的に記録・管理する」という習慣の定着は、異常の早期発見という形で動物病院側にもメリットをもたらす可能性があります。

その一方で、ペットの終活を意識したブースの増加も印象的でした。
ペット保険・看取りケア・グリーフサポートといったカテゴリが年々充実してきており、飼い主がペットの"一生涯"を意識してサービスを選ぶ時代になっていることを改めて実感します。
終末期ケアへの対応や、看取り後のグリーフケアを診療の一環として考える視点は、動物病院の差別化要素として今後さらに重要になってくるでしょう。
サメフード——機能性ペットフードの新潮流

今回目を引いたユニークな展示のひとつが、サメを原料とした機能性ペットフードです。
サメ軟骨由来のコンドロイチン・コラーゲン成分を活用した製品で、関節ケアや皮膚被毛へのアプローチを訴求していました。
ペットフード市場では「グレインフリー」「ヒューマングレード」に続き、原料の希少性や機能性を前面に出した製品が増えています。
飼い主の食への意識が高まる中、「何が入っているか」だけでなく「なぜその原料か」を説明できる製品が支持を集める傾向にあります。
栄養相談・フード指導に力を入れている病院にとっては、会話のフックになる興味深い展示でした。
ペットフード用真空パック——飼い主からの相談、受けていませんか?

「開封後のフードの保存、どうすればいいですか?」そんな質問を飼い主から受けたことはないでしょうか。
今回の展示では、ペットフード専用の真空パック・保存容器を扱うブースが見られ、来場者の関心を集めていました。
ドライフードの酸化・湿気による品質劣化は、栄養価の低下だけでなく、消化器症状の一因になることもあります。
保存方法の指導は診療のついでに一言添えやすいトピックでありながら、飼い主満足度・信頼度の向上につながる接点でもあります。
こうした生活密着型の製品情報を院内で紹介・販売することは、物販収益の観点からも検討の余地があるでしょう。
サプリメントケアフード——エビデンスへの問いかけが増える市場

ペット向けサプリメントのブースも多数出展しており、関節・腸内環境・皮膚被毛・認知機能など、あらゆる領域をカバーする製品が並んでいました。
ヒト用サプリと同様に市場規模は拡大が続いており、飼い主からの「このサプリ、どう思いますか?」という相談は今後さらに増えていくと見られます。
一方で、獣医師として気になるのはエビデンスの質。ブースによっては成分の根拠・臨床データを丁寧に説明しているメーカーもあり、信頼できる製品・メーカーを見極める目を養う場としてもサプリゾーンの視察は価値があります。
飼い主に推薦できる製品の選定基準を院内で持っておくことが、今後の問い合わせ対応の質につながるでしょう。
セミナー「異業種が切り開くペットビジネス最前線」
ビジネスフォーラムでは「異業種が切り開くペットビジネス最前線」と題したセミナーに参加しました。
IT・食品・ヘルスケアなど異業種からペット市場に参入する企業の事例は、業界内にいると見えにくい外側からの視点を得る機会として非常に刺激的な内容でした。
「ペットビジネス」の競合は同業他院だけではない——そんな認識を新たにするセミナーでした。
テクノロジー企業が健康管理の入口を押さえ、EC企業がフード・サプリの流通を握る中で、動物病院が担う「医療という不可侵の領域」をどう活かすかを考えるヒントが詰まっていました。
動物病院・製薬関連の出展
ゆうなぎ動物病院をはじめとする複数の動物病院がブースを出展しており、採用・ブランディング目的での展示会活用という選択肢を改めて意識させられました。
また、抗がん剤感受性試験(エアデックmini)のブースは、腫瘍診療に携わる獣医師にとって要チェックの展示。
がん治療における個別化医療の流れは動物医療にも着実に浸透してきており、二次診療・専門診療との連携を考える上でも注目の技術です。
製薬各社のブースでは新薬・ジェネリックの情報収集にも良い機会でした。
最後に
今年のインターペット大阪は、ビジネス商談日のペット同伴不可という変更もあり、例年以上に「情報収集・商談の場」としての色が濃い開催となりました。
出展企業の担当者とじっくり話せる環境は、普段の業務に追われる院長・獣医師にとってむしろ好都合だったとも言えます。
AIによる健康管理、猫マーケットの本格拡大、終活・グリーフケアへの注目——今年の展示から見えてきたトレンドは、いずれも動物病院経営に直結するテーマばかりです。
インターペットは単なる製品見本市ではなく、業界の1年分の変化を一度に俯瞰できる場として、年に一度の定点観測として活用する価値があります。
来年の参加をすでに検討している方は、ビジネスデーを狙って早めにスケジュールを確保しておくことをおすすめします。












