獣医師の転職2022.03.15
獣医師の履歴書の書き方
履歴書とは学業や職業の経歴などその人物の過去や現在の状況を記入した書類のことで、就職や転職時に選考用の資料として用いられます。第1次選考として履歴書が用いられることが多いので、第2次選考に進むことができる履歴書を作成したいものです。では、履歴書を記述する際に抑えるべきポイントについて解説します。
履歴書の内容
日本で使用する一般的な履歴書はJIS準拠のものが一般的ですが、一般用、転職用、パート/アルバイト用などのさまざまな様式があるので間違えないように選ぶ必要があります。
・氏名、ふりがな
・性別
・生年月日:西暦か和暦のどちらかに統一してください
・満年齢:履歴書は満年齢で記入しますので現在の年齢を記入します
・郵便番号、現住所:現住所のふりがなの番地部分は不要です
・電話番号
・電子メールアドレス:記入欄があれば記入します
・連絡先:現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入します
・学歴、職歴:職歴がない場合は「なし」と記入します
・資格、免許:認定団体名を記入します
・志望動機
・自己PR
・本人の希望:給料、職種、勤務時間帯、勤務地など
・通勤時間
・配偶者や扶養義務の有無
以上の内容を記入することが標準的です。
履歴書を書く前に確認すること
履歴書を提出したのに指定のものではない場合は再提出を求められることがあります。最悪のケースは選考から落とされることです。履歴書を記入する前に確認しておきたいことは以下です。
①指定の書式があるのか
指定の書式の有無についてはしっかり確認しましょう。一次診療の動物病院の場合は市販の履歴書を提出する場合がほとんどですが、大企業や中堅企業の場合は書式をインターネットからダウンロードしたり、ファイルフォーマットを指定したり、エントリーシートを使用する場合もあります。履歴書提出の前に企業が開催するイベントの参加を促す場合もあります。詳しく調べましょう。
②サイズ
履歴書にはサイズがあり、指定される場合があります。主流はB4サイズの二つ折りですが、A4サイズのものもあります。必ず確認しましょう。指定がなかった場合はB4サイズの二つ折りを選択したほうが無難でしょう。
③転職の人は職務経歴書を同時に提出
新卒の学生の場合、職務経歴書は必要ありませんが、既卒の獣医師の場合は職務経歴書の提出を求められることがほとんどです。職務経歴書を作成し、履歴書とともに提出しましょう。
履歴書をオンラインで作成する
一昔前は手書きの履歴書が主流でした。しかし最近はPDFで作成したファイルを添付したり、志望する会社のフォームに入力して応募することが一般的です。また、履歴書のフォームも転職サイトのテンプレートやフリーフォームなどで簡単に作成できるようになっていますので、フォームの指定がない場合は。利用してもよいでしょう。
応募条件に紙面で郵送と書いてある場合でも、手書きにしなくてもPDFを印刷して郵送で問題ないとされています。ただし、「履歴書用紙に手書き」という指定が入った場合のみ紙に記入して提出しましょう。
新卒の場合の履歴書
新卒の学生の場合、履歴書を書くこと自体が初めてという場合もあるでしょう。先に紹介した一般的な履歴書を書くためのルールに従って書きましょう。ここでは志望動機と自己PRについて説明します。
(1)志望動機
志望動機の内容は非常に重要です。なぜ獣医師を目指しているのか、なぜその動物病院を志望するのかについて述べなければなりません。各動物病院には特色や診療内容の違いがあります。しっかり調べたうえで、志望動機を書きましょう。例を挙げてみます。
例)子どものころから動物を飼っていて、動物にかかわる仕事をしたいと思い獣医師を目指しました。貴院は飼主さまからの評判もよく、スタッフ間のコミュニケーションもとれており診療内容も充実しているので志望しました。
これは採用に結び付かない志望動機の例です。
なぜ獣医師を志したのかがわかりませんし、口コミから判断したと思われます。自分が何をしたいのか、どのようにその病院に貢献して獣医師として活躍していきたいのかがあまりにも不明瞭です。
以下の点をふまえて志望動機を記述することが大切です。
・獣医師になりたい理由を明確に記述する
・志望する動物病院の特色、強みを知ったうえで自分がどのように働いていきたいのかを記述する
・採用されたらどのように努力していくのかを記述する
例)
私が獣医師を目指した理由は愛犬が目の前で交通事故にあい骨折してしまったからです。動物病院に連れていき手術をしていただき、以前のように歩けるようになりました。その時の担当獣医師のやさしさや治療する姿に強い憧れをもったのが獣医師を目指したきっかけです。貴院を志望したのは整形外科手術の件数が県下一で、院長をはじめ獣医師が学会発表などを積極的に行い日々研さんしておられることに感銘を受けたからです。私が貴院に就職できた暁には、まず予防などの一般診療ができるようになることを目標にし、次に手術のアシスタント、最終的には自分の手で骨折などの整形外科の手術を行うことができるように努力してまいります。
(2)自己PR
自己PRは志望動機とは異なり、自分の優れている点を記述します。
・コミュニケーション能力
・体力
・問題解決力
・協調性
などを中心に記述していきましょう。記述する欄が小さいこともありますのでどれか一点に絞って書いてもよいでしょう。
例)
私は体力に自信があります。大学時代は陸上部に所属し長距離選手としてインターカレッジに出場し入賞しました。獣医師は緊急手術や夜間対応などがあり体力が必要とされる職業です。忙しい状況であっても診療の質を落とすことがなく対応できます。
既卒、転職の場合の履歴書
既卒者、転職の場合は新卒の場合と履歴書の書き方が異なります。今回は転職の場合に絞って説明します。
(1)志望動機
新卒の方の志望動機と大きく異なる点は、動物病院やその他の企業での勤務経験がある点です。転職する理由や、なぜその動物病院への転職を希望するのかを書く必要があります。以前の勤務先に対する不満があり転職する場合もあると思いますが、履歴書に書いてはいけません。
例)
3年間県内の動物病院に勤務し外来の診療、不妊手術や歯石処置などの基本的な手術は任されていました。獣医師の技術のステップアップとして整形外科手術の腕を磨きたいという希望があり、県下一の整形外科手術の件数が多い貴院への転職を希望いたしました。特に股関節形成不全の手術に興味を持っています。貴院へ就職できた暁には一般診療や基本手術の面では即戦力になることができるように、また整形外科手術ではご教授いただきながら戦力となれるように努力精進してまいる所存です。
例のように、前職場での立場や業務内容に触れ、なぜ転職したいのか、さらに今後どうなりたいのかをできるだけ具体的に書きましょう。転職の目的が不明瞭である場合、不信感を持たれてしまう場合があります。
(2)職務経歴書
職務経歴書とは、実務経験内容とスキルを確認するために提出する書類です。転職希望者の経験や技術などを時系列でまとめ提出します。初めて書く時には戸惑いますが、自分の経歴を振り返りながらまとめていきましょう。
ポイントは以下です。
・自分が前職で行っていた業務内容
・得意分野
・身に着けたスキル
・手術件数とその内容
などを簡潔にまとめます。
内容が長く、だらだらしているよりは簡潔にまとめ、わかりやすい内容の方が好印象です。事実を書き、評論や主張は必要がありませんので注意しましょう。内容はできるだけ具体的に書くことで経験値がわかりやすくなります。例えば「手術を多数経験し」と書くよりも「手術件数は年間100件」と書いた方が相手に伝わります。
履歴書に書いてはいけないこと
履歴書には何を書いてもよい訳ではありません。「関係のないこと」、「具体性のないこと」、「根拠のないこと」などはNGです。
(1)資格
たくさん資格をとっている人もいると思いますが、何でも書いてよい訳ではありません。就職を希望する病院や企業で働いていくうえで必要とされる資格にとどめておきましょう。趣味の資格などあまりにもかけ離れているものは書かない方がよいでしょう。方向性が定まらない人だという印象を与えることがあります。
(2)具体性のないこと
特に自己PRで使いがちな表現の中にはNGとなるワードがあります。
・やる気があります
・責任感がある
・頑張ります
・努力する
これらのことは特にPRすることではなく、社会人として当たり前です。具体的な内容を盛り込むようにしましょう。
(3)根拠のないこと
できないことをできると書く、手術件数を大目に書くなどは絶対にやってはいけません。実際採用された後でうそが露呈してしまうと、大きな問題になります。獣医師にかかわらず人として問題を問われます。
まとめ
今回は「獣医師の履歴書の書き方」について解説しました。基本的な履歴書の書き方はマスターしましょう。履歴書の書き方が理由で不採用になってしまうのは残念です。志望動機や自己PR、職務経歴書は初めて書く場合ハードルが高く感じます。自分自身を客観視して書き出してまとめることをお勧めします。希望の就職先から採用してもらえるように自分の言葉で履歴書を書き、採用を勝ち取りましょう。