獣医師の転職2024.12.04
大学病院で働く研修獣医師とは。 働き方のメリットやデメリットを解説
日本には計17の獣医系大学があり、各大学には附属の動物病院が設置されています。大学病院は高度な医療機器や技術を持っており、一般の動物病院では対応しきれない症例に対応する二次診療の役割を果たしています。
一方で大学病院は、学生だけでなく獣医師に対しても教育の場所を提供していて、研修獣医師として大学病院に就職し、働きながら知識や技術を習得することができます。
この記事では、研修獣医師として大学病院で働くことのメリット、デメリット、年収などを解説します。研修獣医師を検討している方の参考になれば幸いです。
大学病院の研修獣医師とは
まず、大学により研修獣医師の呼び方や獣医師として求められる役割が異なっているので、募集要項や大学病院のホームページなどで情報を調べておく必要があります。
多くの大学では、
- 有給の「研修獣医師」
- 他の動物病院で働いている獣医師などが、研究生として大学の研究室に所属し、大学側に入学金や授業料を払って研修を受ける「研修生」
という2つの制度を取っています。
この記事では、ひとつ目の有給の研修獣医師について解説します。
研修獣医師の研修内容
研修獣医師は、新卒でも臨床経験者のどちらでも応募することができます。
新卒や経験年数の少ない獣医師は、まず大学病院の診療科を一定期間ごとに巡り、基本的な知識と技術を習得します。次に、自分が詳しく学びたい診療科を選び、選んだ部門でより専門的な勉強をします。臨床経験が長い獣医師は、最初から専門科目を選んで研修を始められる大学も多いです。
臨床現場では、実際に大学病院を受診した動物を担当し、診断や治療、手術に関わります。他にも、大学病院や研究室のセミナーに参加したり、手術や検査の練習をしたりして、知識や技術を身につけていきます。
研修獣医師として働くメリット
研修獣医師として大学病院で働くメリットを下にあげました。
- 教育システムが整っている
- 症例数が豊富で、難しい病気や手術を見ることもできる
- いずれ開業した時に、二次診療に送る症例の判断基準がわかる
- 大学や教授との繋がりを作ることができる
大学病院は、教育機関としての知識やノウハウが豊富で、各診療科の経験豊富な獣医師から指導を受けることができます。また、自分の担当以外にもたくさんの症例に触れることもでき、過去の症例や論文などのデータも手に入りやすいです。
一般の動物病院では、自分の担当動物への対応だけでいっぱいになりがちで、多くの動物病院が少人数で開業していることから指導する立場の獣医師も少ないですが、大学病院ではそこをカバーできます。
研修獣医師のデメリット
研修獣医師のデメリットは、一般の動物病院に比べて給与が低いことです。小動物病院に就職した新卒獣医師の月給が約25〜27万円とされていますが、大学病院の研修獣医師の月給は約22〜25万円で平均年収は約300万円と考えられます。
研修先の選び方
研修獣医師としての就職を考えている場合は、まず研修先の選定が大事です。その大学病院が得意としている治療は何か、自分が身につけたい技術があるか、師事したい先生がいるか、などの大学病院の情報を集めて選びましょう。
まとめ
この記事では大学病院で働く研修獣医師について、どんな研修を行うのか、研修獣医師になるメリットとデメリット、研修先の選び方を解説しました。
- 研修獣医師には新卒〜臨床経験者まで、様々な立場の獣医師が応募できる
- 様々な診療科をローテーションしながら勉強し、一通りの知識や技術を得た後は自分の選んだ専門科目で研修を行う
- 経験者は、専門科目を選んで就職することもできる
- 大学病院は、難しい症例が多く高い技術や知識の習得が可能
- 給料は一般の動物病院より低いのがデメリット
自分の臨床獣医師としての経験値を高めるためには、研修獣医師はよい選択です。ぜひ、各大学病院の特色を調べ、チャレンジしてみてください。