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動物病院の人間関係との向き合い方|行動心理士の獣医師が教えるコミュニケーション術

多くの獣医師が、動物の命を助けたいのに人間関係に疲弊する、という矛盾と解離に苦しんでいます。
獣医師も人間です。
守る対象は「動物」ではありますが、実際に働く環境や対応する相手は「人間」です。
どこの職場もそうですが、獣医業界も例にもれず、獣医師が「病院を辞める」「獣医師を辞める」理由に、人間関係やコミュニケーション不足が常に存在しています。
今回は動物病院の人間関係との向き合い方を獣医師の目線から考えてみたいと思います。
動物病院という職場特有の人間関係の難しさ
一般的に動物病院という職場は、動物にかかわるものだからか、そしてあまり大きくない病院も多いため、一見アットホームであたたかいイメージを抱く方もいるかもしれません。
もちろん、このイメージを筆者は否定しません。
しかし、このような動物病院だからこその人間関係の難しさを引き起こすこともあります。
少人数体制
多くのいわゆる「町の動物のお医者さん」といわれている動物病院の規模はあまり大きくありません。
獣医師一人、動物看護士一人など少人数体制の動物病院が多い印象があります。
そうなると、「逃げ場」というものがなくなり、一度関係が悪化してしまった場合、その関係性を気にしない、ということがとても難しくなるのは想像できるでしょう。
院長との距離の近さ
多くの病院では、院長と新人獣医師、という体制で行っている病院も少なくありません。
少人数だからこそ、院長との距離が近くなり色々と指導してもらえて、勉強できる機会が増えるという利点はあります。
しかし、間に「緩衝材」となる獣医師がいなかったりなどすると、方向性の違いや価値観の違いを感じてしまい、こちらも「逃げ場がない」という状況に陥ることがあります。
看護師さんとの関係
動物病院は獣医師だけで成り立っているわけではありません。
動物看護師さんという力強い味方がいるおかげで私たち獣医師は安心して診療をすることができます。
まずは前提として、看護師さんは決して「雑用係」ではありません。
新人獣医師が看護師さんとよりよい関係を築けずに動物病院を退職することはとてもよくある話です。
もちろん個人の性格なども関係ありますので、一概にどちらが悪いというわけではありません。
しかし、日本の獣医療はなんとなく、「獣医師が上で看護師さんが下」というような縦の関係性が存在しているように感じます。
この考え方が、看護師さんとの関係にヒビをいれる原因にもなるのではないかと思います。
獣医師側が「やってもらって当たり前」で感謝やリスペクトがたりないということも多くあります。
また看護師さんの中にはそこらへんの獣医師よりもできる方々がいらっしゃいます。
そのような方の中には、獣医師をバカにするような態度をとったり、わざと保定に入らないなどあからさまな態度をとる方も残念ながらいらっしゃいます。
いつの間にか獣医師のような立ち振る舞いをされる方もいらっしゃいます。
獣医師も看護師さんも、動物を助けたいという想いは同じです。
ですが、双方ともその想いがあるからこそプライドが邪魔をして、余計なぶつかりが生じ、歩み寄ることができず関係を悪化させてしまうことがあります。
行動心理学から見る、よくある人間関係の摩擦パターン
実は筆者はだいそれた資格ではなく通信教育で取得できるものですが、「行動心理士」という資格を持っています。
「臨床心理士」の先生方たちのような専門性はありませんので参考程度にしていただきながら、ありがちなパターンをみていけたらと思います。
院長と新人獣医師のコミュニケーション不足
新人獣医師から「何も教えてくれない」という不満。
そして一方院長から「何も聞いてくれない」という不満。
このどちらも一方通行ですれ違っているパターンはよく耳にするものではないでしょうか。
ひと昔前は「見て覚えろ」が合言葉でした。
筆者も実際そのような教えをされた覚えがあります。
しかし、これはできるかもしれませんが、全部に対応できるわけではありません。
病院に入ったばかりの何もしらない新人獣医師が、急に診療に放り出され、見て覚えろ、自分でどうにかしろ、というのはやはり時代錯誤で、根性論ややる気の問題ではないと思います。
もちろん見て覚える努力をすることは必要ですが、人を育てる義務は院長や病院の責任としてあると筆者は思っています。
ですが、手とり足取り教えてもらうというのもまた違うと思っています。
自分で解決するという努力もすべきではあるのではないでしょうか。
一方院長側は、何を考えているのかわからない、何も聞いてくれない、やる気があるかわからない、という不満を持ちます。
確かにわからないのに何も聞いてくれなければ何を教えたらいいかわからない、というのは理解できます。
またすべてを丁寧につきっきりで教えるというのも不可能です。
このパターンはどんどん不満が溜まり溝が深まっていきます。
そして結果的に新人獣医師が入社早々に退職するという事態につながる場合があります。
これは圧倒的にコミュニケーション不足です。
みなさん経験があると思いますが、なかなか新人は言いたいことが言えないものです。
そのような意図を汲んで、何か問題点がないかを定期的に確認することが重要だと思います。
また直接難しい場合は看護師さんなどにフォローをしてもらうことも有効です。
新人獣医師側も、待ちの姿勢ではいけない、ということに気づくべきです。
プライドが邪魔をしてしまい、わからないことを聞けない、知らないと言えない獣医師も多くいます。
性格も関連しているので一概に難しいかもしれませんが、このプライドが患者さんに悪影響を及ぼすことを自覚するべきです。
動物看護師さんとのすれ違い
看護師さんに嫌われて「手伝ってくれない」という理由で、病院を辞めた同級生がいます。
実際筆者も学生さんから就職の相談を受けた際は、「看護師さんを大切にする」ことをアドバイスとして話していました。
看護師さんたちはプロフェッショナルです。
雑用係では決してありません。
まずその間違った認識がこのようなトラブルを引き起こす原因の一つにもなっている場合があります。
また「獣医師が上」という考えを無意識に抱えている獣医師も多いのではないかと思います。
一方看護師側も、自分の方ができるという思いを抱えている方がいらっしゃいます。
実際とても優秀な看護師さんたちがいっぱいいるのは事実ではありますし、筆者も新人の頃、看護師さんたちが育ててくれました(本当に感謝しております!)。
しかし、その力を獣医師を育てようという方に向かない方がまれにいらっしゃいます。
獣医療はチーム医療です。
上も下もありません。
みんな平等でそれぞれの役割があるだけです。
そこをはき違えてはいけません。
明日から使えるコミュニケーションの工夫
動物病院での人間関係を悪化させる大きな問題はコミュニケーション不足だと思います。
まずは「発言できる」環境をつくることが必要です。
例えば、
- 定期的に面談をする
- ごはんに行くなどイベントを行う
➡ただしやりすぎはよくないかと思います
などあまりお互い無理せずできる範囲で「歩み寄る」意識が大切だと感じます。
そうすれば自然に行動につながっていくものです。
そしてやお互いがリスペクトし合って、
- 上下の関係ではなく常に平等であること
- それぞれに最適で適切な役割があること
を病院全体の責任としてそのような雰囲気を作る努力をすべきかと思います。
そして人としても当たり前ですが、「ありがとう」「ごめんなさい」をしっかり伝えましょう。
まとめ
動物が患者さんでも、対応する相手は「人」です。
人同士の交流がある時はやはり問題になるのは人間関係です。
実際筆者の知り合いも人間関係が原因で病院をかえたり、獣医師を辞めてしまった子もいます。
人間関係だけでなく、命を守るというプレッシャーもあり動物病院は特殊な環境です。
毎日獣医師のみなさんは頑張っています。
しかし、自分の心を守るということもとても大切です。
多くの獣医師が自分らしく働ける環境に恵まれることを願っています。














