動物病院と統計2023.12.06
栃木県の統計と動物病院
栃木県は関東地方北部に位置し、境界部に海岸線を有しない内陸県です。奥羽山脈を代表とする標高1500~2500mの山が連なる自然豊かな土地で、さらに県北部には日光国立公園があり、観光地・保養地の日光や那須が知られています。自動車関連産業、精密機械工業などさまざまな工業が盛んなだけでなく商業や観光業も盛んです。夏は多雨多湿で冬は雨が少なく乾燥する気候で、雷の日が多いことで有名です。そのような栃木県の動物病院、獣医師数と栃木県統計について紹介したいと思います。
栃木県の統計データ(令和4年 国勢調査)
①人口、面積
人口:1,908,380人(全国19位、人口密度:301.7人/km2)
1位 宇都宮市 514,966人(人口密度:1,245人/km2)
2位 足利市 141,330人(人口密度:810人/km2)
3位 栃木市 152,802人(人口密度:473人/km2)
面積:6,408.09km2(20位)
1位 日光市 1,449.83km2
2位 那須塩原市 592.74km2
3位 鹿沼市 490.64km2
②人口増減
1.人口推移
栃木県の人口は、昭和30年代以降ほぼ一貫して増加を続けていましたが、2004年をピークに減少に転じました。1997年9月に200万人に到達しましたが、2022年には191万人以下になりました。少子化と高齢化の進行や、若い世代の東京への転出の増加などより顕著に人口の減少が続いています。今後もこの傾向が続くと2045年には150万人、2060年には120万人に減少すると予想されています。
1)高齢化率
栃木県の高齢化率は2023年10月現在30.1%で、これは、全国平均の29.0%を1.1ポイント上回っていますが全国順位では34位です。高齢化率は2025年には30.8%(全国:29.6%)、2040年には36.3%(全国:32.3%)、2045年には37.0%(全国:36.3%)と増加する見込みです。2045年の人口予測が150万人ですので、55.5万人が65歳以上という状態になります。地域別の高齢化率をみると茂木町が最も高く、人口が12,178人のところ65歳以上の人口5,236人で高齢化率が43.1%です。反対に宇都宮市では人口が519,136のところ65歳以上の人口が129,264人で約24.9%です。地域差は大きいですが、栃木県全体で今後も高齢化が進むことは避けられないでしょう。
2)出生率
栃木県の人口統計調査によると出生者数は昭和48年に31,800人をピークに、その後は軽度の増減はあるものの減少傾向は続き2022年には1.24となりました。前年の1.31より0.07ポイント減少し、全国の出生率1.26をわずかに下回り全国で36位となっています。少子化の原因として挙げられるのは、未婚率の上昇です。昭和60年から平成17年の20年間で、25歳から29歳までの栃木県の女性の未婚率は27.4%から53.3%に、30歳から34歳までの栃木県の男性の未婚率は27.3%から46.2%になるなど、未婚率が大きく増えています。個人の意識の変化や、子育てに対する経済的・心理的負担などが理由とみられます。
栃木県の特徴
①地理的、産業的特徴
栃木県は、関東地方の北部に位置し、群馬県、茨城県、福島県、埼玉県に接しています。県の東側は平野部で、西側は山岳地帯になっており、日光連山や那須連山が広がっています。利根川や鬼怒川などの大きな河川も豊かな自然環境を形成しています。
栃木県の気候は、平野部では夏は高温多湿、冬は比較的寒冷で乾燥する気候ですが、山間部では冬季積雪が見られます。夏は降水量が多く、特に夏は集中豪雨に見舞われることもあります。
農業ではいちごが有名で収穫量では昭和43年以降全国1位を維持しています。また、工業では自動車工業、医療機器などが有名です。日光・那須などの観光業も盛んです。
②平均賃金(令和5年9月勤労統計調査)
令和5年9月の1人平均月間現金給与総額は、265,695円で、前年比0.8%減でした。
令和5年10月1日より最低賃金が913円から954円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので50円低いです。
総務省統計局が2022年に発表した消費者物価地域差指数は98.3で全国32位、全国平均(100)との差は▲1.7で物価は低いといえます。
また、栃木県の住居費は2LDKの場合は最も高い宇都宮市で6.7万円、最も安いのは芳賀郡の3.8万円です。中心部に近い場合は相場が高くなるのは栃木県に限ったことではありませんが、交通の便なども考慮し住むエリアは慎重に考える必要がありそうです。
動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
①診療施設数
321件(産業動物 140件、小動物 181件)
②就業している獣医師数の合計(個人診療施設のみ)
産業動物、小動物診療施設の合計で347名(産業動物 99人、小動物 248人)
③栃木県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
栃木県の施設数 | 119 | 35 | 12 | 7 | 5 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 181 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 栃木県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 119 | 168.7 |
2 | 35 | 53.3 |
3 | 12 | 16.6 |
4 | 7 | 8.5 |
5 | 5 | 5.3 |
6 | 2 | 3.6 |
7 | 0 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 1 | 6.8 |
合計 | 181 | - |
栃木県は全国で17番目に動物病院の数が多く、全国の動物病院の約1.5%が栃木県に存在します。勤務獣医師数の多い病院は比較的少なく、ひとり獣医師の動物病院が多い傾向にあります。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数: 99,781頭
狂犬病予防注射頭数: 70,516頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
402頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
14.5件(14位)
関東の獣医学部付属動物医療センター
栃木県には獣医学部のある大学がありませんので、関東の獣医学部付属動物医療センターを紹介します。
①東京大学 農学部獣医学課程
→HPはこちら
②日本大学 生物資源科学部
→HPはこちら
③日本獣医生命科学大学
→HPはこちら
④東京農工大学農学部
→HPはこちら
⑤麻布大学
→HPはこちら
まとめ
栃木県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。栃木県は関東地方の北部に位置し、境界部に海岸線を有しない内陸県です。観光地・保養地の日光や那須が知られています。自動車関連産業、精密機械工業などさまざまな工業が盛んなだけでなく商業や観光業も盛んです。動物病院の数は全国17位ですが、獣医学部のある大学はありません。さらに、獣医師の数が7人以上の規模の大きな病院も少なく、獣医師一人あたりの犬登録数が多いので経験できる症例数は多いでしょう。近県には大学病院が複数あり、高度医療の知識や技術を身に着けたい、スペシャリストを目指したいという獣医師にとっては非常に勉強になります。自然豊かで、物価や家賃が安いことも魅力の一つですので、転職・就職の際の候補としてあげてみてはいかがでしょうか。