動物病院と統計2024.02.06
奈良県の統計と動物病院
奈良県は日本列島のほぼ中央に位置し、紀伊半島の真ん中にある海のない内陸県です。奈良県には盆地・高原・山があり、自然が豊かなところです。また、奈良県は日本でも有数の歴史のある県です。奈良には歴史遺産や文化が多く、それを目的に観光客も多数訪れています。そのような奈良県の動物病院、獣医師数と奈良県の統計について紹介したいと思います。
奈良県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,295,681人(29位 日本の総人口の約1.23%、人口密度:358.8人/km2)
1位 奈良市 349,484人(人口密度:1,281人/km2)
2 位 橿原市 118,963人(人口密度:3,057人/km2)
3位 生駒市 115,029人(人口密度:2,200人/km2)
面積:3,691.09km2(40位)
1位 十津川村 672.4km2
2位 五條市 292.0km2
3位 奈良市 276.9km2
②人口増減
1.人口推移
奈良県の人口は2023年10月時点で129万5,681人となり、2022年比で10,300人の減少となりました。奈良県の人口は1999年の144万9,138人をピークに減少の一途をたどり、今後も緩やかに減少を続ける見込みです。2040年には人口が21.7%減の101万4,581人、2050年には95万人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
奈良県の住民基調台帳に基づく発表で、2023年10月時点の奈良県の高齢化率は32.66%で、高齢者(65歳以上)人口は42万3,184人となりました。2000年の高齢化率は16.6%でしたのでほぼ倍といってよいでしょう。奈良県では全国平均より速いスピードで高齢化が進んでおり、2025年には高齢化率が32.6%になる見込みでしたが、予測を上回るスピードで高齢化が進んでいます。
2)出生率
厚生労働省発表の2023年度発表の奈良県の出生数は7,751人で、前年より約54人減少しました。2022年は前年度よりも412人減少していますので減少は僅かでした。全国で38番目となっています。出生率は1.25で全国平均1.26とほぼ変わりません。
奈良県の特徴
①地理的・産業的特徴
奈良県は近畿地方の内陸部に位置し、海に面することがない内陸県です。北部は奈良盆地や大和高原といったなだらかな地形が広がる一方、南部は大台ケ原や近畿地方最高峰の八剣山といった紀伊山地の急陵な地形で占められています。奈良県は雨量が少なく晴れる日が多いため、非常に過ごしやすい地域と言えます。奈良市内と山間部では特に冬の厳しさに差があるので、住む場所によって気候の差は大きいでしょう。
奈良県は観光産業が発達しており、各地の神社仏閣や遺跡などが有名です。東大寺、正倉院、法隆寺、奈良公園など有名な観光地がたくさんあります。海に面しないので漁業は行われていませんが、大和郡山市は金魚で有名で全国金魚すくい選手権大会が毎年行われ賑わいを見せています。三輪そうめんや吉野杉も多くの人がその名前を知っていることでしょう。墨は全国シェアの95%が奈良県産です。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、223,510円で、前年比6.2%減でした。
令和5年10月1日より最低賃金が896円から936円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので68円安いです。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数では、奈良県についての指数では平均100.0よりも若干下回り97.0です。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは奈良市で6.5万円、同地域の3LDKでは7.6万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
①診療施設数
148件(産業動物 15件、小動物 133件) 全国26位
②就業している獣医師数の合計
産業動物、小動物診療施設の合計で188名(産業動物 3人、小動物 184人、その他の動物 1人)
③奈良県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
奈良県の施設数 | 104 | 17 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 4 | 133 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 奈良県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 104 | 168.7 |
2 | 17 | 53.3 |
3 | 4 | 16.6 |
4 | 1 | 8.5 |
5 | 0 | 5.3 |
6 | 0 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 1 | 1.5 |
9 | 1 | 1 |
10~ | 4 | 6.8 |
合計 | 133 | - |
奈良県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
奈良では就業獣医師数が188人、うち184が小動物診療施設勤務です。1名の獣医師を雇用している病院は104件で割合としては78%で最も多く、2名以上の獣医師を雇用している動物病院が全体の22%を占めています。
奈良は施設数が少なく、獣医師が10人以上いる動物病院は4件あります。1~2名雇用の動物病院が121件で全体的に小規模の病院が多い印象です。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:54,833頭
狂犬病予防注射頭数:41,386頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
291頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
10.9件(36位)
大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センター
奈良県には獣医学部のある大学がありませんので、大阪府にある大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センターを紹介します。
2022年4月1日に大阪府立大学と大阪市立大学が統合し大阪公立大学が誕生しました。それに伴い大阪府立大学に付属する獣医臨床センターも改名しました。地域の2次診療病院として11の診療科がありますが、2022年10月1日からりんくう動物救命医療協会と協働して夜間救急診療を開始しました。
①所在地
〒598-0048 大阪県泉佐野市りんくう往来きた1-58 大阪公立大学臨床センター
TEL:072-463-5082
HPはこちら
②診療科目と診療日
1.診療科目
・腫瘍科・軟部組織外科・神経、整形外科・眼科・循環器科・内科・大動物科・検査科・画像診断科・麻酔科・消化器科・夜間救急診療科・あんしん獣医療相談室
2.診療日
【腫瘍科】月・水・木・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【軟部組織外科】月・水・木・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【軟部組織外科】月・水・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【眼科】木曜日
【循環器科】月曜日
【内科】月・火・水・木・金(午前)曜日
【画像診断科】木(午前)曜日
【大動物科】不定(かかりつけ獣医師と相談の上、診療日が決まります)
診察受付時間:
AM9:00~12:00(受付終了11:30)、PM13:00~17:00(受付終了 16:00)
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。
まとめ
奈良県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。奈良県の動物病院数は全国38位です。人口10万人当たりの動物病院数は9.8件と1件当たりの人口は多い方です。獣医師1名当たりの犬の登録件数は443頭と東京の195頭に比較すると3倍近く多い計算になります。単純計算ではありますが、多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。獣医師が数多く在籍する病院の割合が低く、2次診療施設はあまり多くない状況です。就職、転職の際の参考にしていただければ幸いです。