動物病院と統計2024.02.14
三重県の統計と動物病院
三重県は日本列島のほぼ中央に位置し、紀伊半島東部に沿って南北に細長く伸びる県です。三重県は豊かな自然環境や伊勢神宮や熊野古道といった観光資源に恵まれているほか、食に関しても伊勢海老などの名産品が多くあります。このように三重県は自然、文化、海山の幸に恵まれていることから、美し国(うましくに)と言われてきました。そのような三重県の動物病院、獣医師数と三重県の統計について紹介したいと思います。
三重県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,772,427人(22位 日本の総人口の約1.23%、人口密度:299.16人/km2)
1位 四日市市 305,424人(人口密度:1,480人/km2)
2位 津市 274,537人(人口密度:386人/km2)
3位 鈴鹿市 195,670人(人口密度:1,006人/km2)
面積:5,774.48km2 (25位)
1位 津市 711.18km2
2位 松阪市 623.58km2
3位 伊賀市 558.23m2
②人口増減
1.人口推移
三重県の人口は2023年10月時点で172万7,503人となり、2022年比で15,200人の減少となりました。三重県の人口は2005年の187万人をピークに減少の一途をたどり、今後も緩やかに減少を続ける見込みです。2035年には人口が11%減の156万8,000人、2050年には22.4%減の134万7,000人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
三重県の住民基調台帳に基づく発表で、2022年10月時点の三重県の高齢化率は30.5%で、高齢者65歳以上)人口は約53万人となっています。65歳以上の老齢人口割合は、全国で31位です。2000年の高齢化率は18.9%でしたのでほぼ1.6倍といってよいでしょう。2030年には高齢化率が32.6%、2040年には36.9%になる見込みです。少子化が進み、高齢化率が高くなると、結果として労働者年齢層が減っていきますので、人口減少対策が急がれています。
2)出生率
2023年度の厚生労働省の発表によると三重県の出生数は10,980人で、前年より約161人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比5.8%ダウンし、全国で38番目となっています。2023年の出生率は1.43で全国平均1.30を上回り、全国19位です。減少の理由としては、隣の愛知県への若者の流出があげられていたり、出会いの場がないという理由からの婚姻率の低下も検討課題とされています。
三重県の特徴
①地理的・産業的特徴
三重県は紀伊半島の東部に位置し、南北約180㎞、東西10~80㎞と細長い地形と、入り組んだリアス式海岸を有しています。伊勢平野などの平地、鈴鹿山脈を代表とする山脈、さらに盆地も多く、豊かな自然に恵まれています。伊勢志摩国立公園や伊勢神宮、吉野熊野国立公園などの風光明媚で歴史のある観光地が数多くあります。
三重県は製品出荷額が全国上位で、自動車製造業や電子部品などの工業が発展しています。四日市市には四日市コンビナートと呼ばれる大規模なコンビナートがあります。また、三重県は農業、水産業のどちらも盛んです。農業出荷額は全国的にみると中位ですが、水産業においては全国上位を誇り伊勢海老やカキなどが有名です。
気候は地域によって異なり、海に面する地域では平均気温が15~17℃と四季を通じて温暖ですが、鈴鹿山地などの山間部では冬場はかなりの積雪となります。伊賀などの盆地部では、冬は寒く、夏は暑くなるのが特徴で40℃近くまで気温が上がる場合もあります。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、259,064円で、前年比0.7%減でした。
令和5年10月1日より最低賃金が933円から973円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので31円安いです。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、三重県についての指数では平均100.0よりも若干下回り99.2です。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは四日市市で6.2万円、同地域の3LDKでは6.6万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
①診療施設数
213件(産業動物 48件、小動物 165件) 全国25位
②就業している獣医師数の合計
産業動物、小動物診療施設の合計で230名(産業動物 20人、小動物 208人、その他の動物 2 人)
③三重県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
三重県の施設数 | 109 | 38 | 8 | 3 | 0 | 2 | 1 | 1 | 1 | 2 | 165 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 三重県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 109 | 168.7 |
2 | 38 | 53.3 |
3 | 8 | 16.6 |
4 | 3 | 8.5 |
5 | 0 | 5.3 |
6 | 2 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 1 | 1.5 |
9 | 1 | 1 |
10~ | 2 | 6.8 |
合計 | 165 | - |
三重県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
三重では就業獣医師数が230人、うち208人が小動物診療施設勤務です。1名の獣医師を雇用している病院は109件で割合としては66%で最も多く、2名以上の獣医師を雇用している動物病院が全体の34%を占めています。
三重県の動物病院数は全国25位でほぼ109件、獣医師が複数いる病院の占める割合が少ない印象です。1~2名雇用の動物病院が147件で全体的に小規模の病院が多い印象です。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:113,979頭
狂犬病予防注射頭数:80,518頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
547頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
9.1件(11位)
大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センター
三重県には獣医学部のある大学がありませんので、大阪府にある大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センターを紹介します。
2022年4月1日に大阪府立大学と大阪市立大学が統合し大阪公立大学が誕生しました。それに伴い大阪府立大学に付属する獣医臨床センターも改名しました。地域の2次診療病院として11の診療科がありますが、2022年10月1日からりんくう動物救命医療協会と協働して夜間救急診療を開始しました。
①所在地
〒598-0048 大阪県泉佐野市りんくう往来きた1-58 大阪公立大学臨床センター
TEL:072-463-5082
HPはこちら
②診療科目と診療日
1.診療科目
・腫瘍科・軟部組織外科・神経、整形外科・眼科・循環器科・内科・大動物科・検査科・画像診断科・麻酔科・消化器科・夜間救急診療科・あんしん獣医療相談室
2.診療日
【腫瘍科】月・水・木・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【軟部組織外科】月・水・木・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【軟部組織外科】月・水・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【眼科】木曜日
【循環器科】月曜日
【内科】月・火・水・木・金(午前)曜日
【画像診断科】木(午前)曜日
【大動物科】不定(かかりつけ獣医師と相談の上、診療日が決まります)
診察受付時間:
AM9:00~12:00(受付終了11:30)、PM13:00~17:00(受付終了 16:00)
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。
まとめ
三重県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。三重県の動物病院数は全国25位です。人口10万人当たりの動物病院数は9.1件と1件当たりの人口は多い方です。獣医師1名当たりの犬の登録件数は547頭と東京の195頭に比較すると2.8倍となり、診療担当可能な動物の数が多いので、単純計算ではありますが、多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。獣医師が数多く在籍する病院の割合が低く、2次診療施設はあまり多くない状況です。就職、転職の際の参考にしていただければ幸いです。