動物病院と統計2024.07.10
福島県の統計と動物病院
福島県は東北地方の南部に位置する県です。面積は北海道、岩手県に次ぐ第3位で、県内には阿武隈山地や磐梯山などの山々が広がり、猪苗代湖や五色沼などの湖や沼も多く観光客が多く訪れています。福島県は農業が盛んで、特に米や桃、リンゴなどの果物の生産が有名です。2011年の東日本大震災で大きな被害を受け復興と再生に向けた取り組みを進めています。
このような福島県の動物病院、獣医師数と福島県の統計について紹介します。
福島県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,750,485人(21位 日本の総人口の約1.45%、人口密度:128.1人/km2)
1位 いわき市 332,931人(人口密度:255.6人/km2)
2位 郡山市 327,692人(人口密度:422.2人/km2)
3位 福島市 282,693人(人口密度:356.1人/km2)
面積: 13,784.39km2 (3位)
1位 いわき市 1,232.26km2
2位 南会津群南会津町 886.47km2
3位 福島市 767.72km2
②人口増減
1.人口推移
福島県の人口は2023年10月時点で175万0,485人となり、2020年比で82,667人の減少となりました。福島県の人口は1998年の約214万人をピークに、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比17%減の144万9,067人、2050年には29%減の124万7,000人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
ア)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の福島県の高齢化率は31.7%で、高齢者65歳以上)人口は約58万人となっています。2040年には高齢化率が40.3%で約58万人、2050年には44.2%で約55万人になる見込みです。福島県でも高齢化は進んでいますが、高齢化が進むスピードは他府県に比較すると急速に進んでおり、将来的には1/2近くが高齢者となる見込みです。
イ)出生率
厚生労働省発表によると、2023年度の福島県の出生数は9,019人で、前年より約690人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比5.7%ダウンしました。福島県の2023年の出生率は1.21で、前々年の1.27より0.06ポイント減となり、2017年以降7年連続で低下しています。全国平均は1.20ですので、0.13ポイント下回っています。福島県の出生数は年々減少していますが、少子化の背景として未婚・晩婚化の進行、経済的な不安、男女の出会いの少なさなどさまざまな要因が影響しているとみられています。県をあげて出会いから出産、育児まで切れ目のない対策が急務とし、県をあげて対策をとっています。
福島県の特徴
①地理的・産業的特徴
総面積は約13,800㎢で、北海道、岩手県に次いで全国3位です。地形は、頭部になだらかな阿武隈山地、中央には奥羽山脈、西部に急峻な越後山脈が縦走しています。県内の80%が山地、丘陵地の様相を示し、地形や気候風土などから会津、中通り、浜通りの三地方に分類されます。
農林水産業では、全国有数の高値、森林面積を有しているほか、黒潮と親潮が交わる良好な漁場があり漁業も盛んです。特に米、桃、リンゴなどが有名ですが、畜産業も盛んで鶏の産出額が最も多く、つぃで肉用牛が多いです。
福島県の主な産業は、情報通信機器、電子部品、輸送用機械が主ですが、特に情報通信機器は全国の製造出荷額の約8%を占めています。
気候は地域によって異なり、夏は山間部で涼しくなりますが、盆地では蒸し暑くなります。降雪量は非常に多く、奥会津では一晩で1メートル以上の積雪量になることもあり、最も雪が深い地域では5~6mにも達します。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、246,999円で、全国平均の約27万円と比較すると低くなっています。
令和5年10月1日より最低賃金が858円から900円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので104円安で32位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、福島県についての指数では平均100.0を下回り99.2で、平均月間現金給与総額や時給を考えると物価水準が低いと言えます。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは郡山市で6.5万円、同地域の3LDKでは8.8万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況 個人開業)
146件(産業動物 76件、小動物 70件) 全国24位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況)
産業動物、小動物診療施設の合計で220名(産業動物76人、小動物158人、その他の動物 6 人)
③福島県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
福島県の施設数 | 86 | 29 | 12 | 10 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 141 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 福島県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 86 | 168.7 |
2 | 29 | 53.3 |
3 | 12 | 16.6 |
4 | 10 | 8.5 |
5 | 1 | 5.3 |
6 | 0 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 1 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 1 | 6.8 |
合計 | 141 | - |
福島県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
福島では就業獣医師数が220人、うち158人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が76人です。福島県の動物病院では、獣医師1名の病院が約6割を占めています。獣医師が複数名勤務する病院が少なく、小規模の病院が多いのが特徴的です。小~中規模病院が多く、大規模病院はあるが数が少ないと言えるでしょう。将来、自分がどのような獣医師を目指すのかをしっかり考えて勤務希望先を考えましょう。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数: 89,861頭
狂犬病予防注射頭数: 66,551頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
568頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
15.1件 (9位)
岩手大学動物病院
福島県には獣医学部のある大学がありません。近県には岩手大学農学部共同獣医学科があります。今回は岩手大学動物病院を紹介します。
①所在地
〒020-8550 岩手県盛岡市上田3-18-8
TEL:019-621-6238
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
【伴侶動物診療科】
・一般内科 ・腎泌尿器内科 ・血液内科 ・皮膚科 ・循環器科 ・一般外科 ・神経科 ・腎泌尿器外科 ・整形外科 ・軟部、腫瘍外科 ・画像診断、放射線治療科
【産業動物診療科】
・個体診療の部 ・検診の部 ・牛群管理の部
【パピークラス】
2.診療日
月~金曜日(土日祝は休診・大学指定日休診)
9:00~11:00 / 13:00~15:00
【受付時間】 AM 9:00~11:00
【診療時間】 AM 9:00~12:00
※土曜、日曜、祝祭日は休診です。
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。 (情報は変わることがありますので、必ずHPをご確認ください)
関東方面では東京大学付属動物医療センターなどがあります。
まとめ
福島県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。福島県は人口10万人当たりの動物病院数は15.1件で、人口当たりの動物病院数は平均的で全国順位では9位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は568頭と東京の195頭に比較すると約3倍となります。年間で担当できる動物の数が多く、多くの経験を積むことができるでしょう。福島県には獣医学部のある大学がなく、近県では岩手大学や東京大学と比較的遠く、通院すると考えるとペットへの負担が大きいでしょう。獣医師数が少ない小規模の動物病院が多く、獣医師を多く抱える病院は少数です。転職や就職活動の際には病院見学を重ね、じっくり検討しましょう。