動物病院と統計2024.12.25
愛媛県の統計と動物病院
愛媛県は瀬戸内海と宇和海に囲まれ、大小200余りの島があります。気候は温暖で、地震や台風などの被災リスクが比較的低い県です。柑橘類やキウイフルーツなどの農産物、瀬戸内海の漁業、宇和海の養殖真珠などの産業が盛んです。県の面積の4分の3は山地が占めており他県との交通の便が悪かったのですが、本州四国連絡橋の開通で愛媛県今治市と広島県尾道市がつながり本州とのつながりが深くなっています。
このような愛媛県の動物病院、獣医師数と愛媛県の統計について紹介します。
愛媛県の統計データ(2024年10月)
①人口、面積
人口:1,279,630人(28位 日本の総人口の約0.6%、人口密度:224.7人/km2)
1位 松山市 511,192人(人口密度:1,191人/km2)
2位 今治市 151,672人(人口密度:362人/km2)
3位 新居浜市 115,938人(人口密度:494人/km2)
面積:5,675.89km2 (26位)
1位 久万高原町 583.7km2
2位 西予市 514.3km2
3位 西条市 510.0km2
②人口増減
1.人口推移
愛媛県の人口は2024年10月時点で127万9,630人となり、2020年比で55,211人の減少となりました。愛媛県の人口は1955年の約155万人をピークに、緩やかな減少が続いています。
国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2024年比16%減の107万3,827人、2050年には26%減の94万4,634人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
ア)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の愛媛県の高齢化率は33.2%で、高齢者(65歳以上)人口は約44万人となっています。2040年には高齢化率が40.2%で約43万人、2050年には43.0%で約41万人になる見込みです。
愛媛県では高齢化が進んでおり、その進行は他県に比較して急速です。将来的には約半数近くが65歳以上となり労働年齢層への負担が大きくなる可能性があります。地域によっては半数が65歳以上の人口になることが予測されます。
イ)出生率
厚生労働省発表の2024年度の愛媛県の出生数は8,446人で、前年に比べて884人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比5.7%ダウンしました。
愛媛県の2023年の出生率は概算で1.31と、全国36位となっており、全国平均は1.20ですので、0.11ポイント上回っています。愛媛県では少子化対策、結婚支援、子育て支援などの施策を行っています。
愛媛県の特徴
①地理的・産業的特徴
愛媛県は、四国地方の北西に位置しています。全般的に平坦地が少なく、山地が多い地形となっているほか、波が比較的穏やかな瀬戸内海やリアス式海岸の宇和海には、大小さまざまな島が約200ほどあり、自然景観に恵まれた地形になっています。
南予地方の沿岸部では、四国山地が海岸線まで迫り、段畑による柑橘類の栽培が盛んで、イヨカン、清見オレンジなどの生産量で全国1位の「かんきつ王国」として知られています。
畜産も盛んで、中四国で最も豚の飼育頭数が多く、2019年には中四国内の1/3を愛媛県が占めていました。
愛媛県は製造業も盛んで、紙・パルプ、非鉄金属などの製造業が盛んで、製造業の出荷額が四国全体の45.3%を占める工業県でもあります。
また、愛媛県の気候は、温暖で降水量が少なめで晴天が多いのが特徴です。年間平均気温は16度前後で、高知県や徳島県に比較すると台風が通過することも少なく、台風の被害もそれほど多くありません。冬は山間部では積雪が見られますが、市内では気温が氷点下まで下がることはあまり多くないでしょう。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、243,884円で、全国平均の約27万円と比較すると若干低くなっています。
令和6年10月1日より最低賃金が897円から956円に引き上げられます。
全国平均は1,055円ですので99円安く34位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、愛媛県についての指数では平均100.0を下回り98.1で、平均月間現金給与総額や時給を考えると物価水準は標準的と言えます。
また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは高松市で5.5万円、同地域の3LDKでは平均6.9万円です。家賃相場は居住地域によって大きく異なりますので、住まいを探すときには家賃相場をしっかり確認した方がよいでしょう。近県と比較すると、家賃は総体的に低目です。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況 個人開業のみ)
81件(産業動物 26、小動物55件) 全国37位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況 )
産業動物、小動物診療施設の合計で143名(産業動物10人、小動物133人、その他の動物 0 人)
愛媛県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高知県の 施設数 | 44 | 17 | 1 | 2 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 71 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 高知県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 44 | 168.7 |
2 | 17 | 53.3 |
3 | 1 | 16.6 |
4 | 2 | 8.5 |
5 | 2 | 5.3 |
6 | 1 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 3 | 6.8 |
合計 | 71 | - |
愛媛県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
愛媛では就業獣医師数が143人、うち133人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が10人です。愛媛県の動物病院では、獣医師1名の病院が約7割を占めています。獣医師が1~2名で診療する病院の数が圧倒的に多く9割を占める状態で、獣医師数が3名にまで範囲を広げると全体の97%となり、大規模な病院が非常に少ないのが現状です。
愛媛県には岡山理科大学獣医学部があり、獣医学教育病院があり最先端獣医療を提供し、四国における獣医臨床の地域拠点としての役割も果たしています。将来、自分がどのような獣医師を目指すのかをしっかり考えて勤務希望先を考えましょう。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:77,885頭
狂犬病予防注射頭数: 47,522頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
580頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
9.4件 (30位)
岡山理科大学獣医学教育病院
愛媛県には2018年4月に岡山理科大学獣医学部が開設され、それに伴い岡山理科大学獣医学教育病院も設置されました。
四国で唯一の獣医学部であり、高度動物医療を提供する地域の拠点動物病院としての役割を持っています。
①所在地
〒794-8555 愛媛県今治市いこいの丘1-3
TEL:0898-52-9001 FAX:0898-52-9211
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
・外科 ・内科 ・麻酔科 ・画像診断科 ・放射線科 ・産業動物科 ・愛玩動物看護科
2.診療日
月曜日~金曜日
診察受付時間:AM9:00~17:00
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。
まとめ
愛媛県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。
愛媛県は人口10万人当たりの動物病院数は9.4件で、全国順位では30位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は580頭と東京の195頭に比較すると約3倍となります。
愛媛県内の動物病院数は1人獣医師診療病院が全体の約7割、獣医師数が3人以下の病院が大多数ですが、愛媛県には岡山理科大学獣医学教育病院がありますので高度医療が必要な症例を学べる機会も多くあります。転職や就職活動の際には病院見学を重ね、じっくり検討しましょう。