動物病院と統計2024.02.29

宮崎県の統計と動物病院

宮崎県は九州の東南端に位置し、黒潮の影響で年間を通して暖かく、快晴の日数は日本で3位以内に入り、平均年間降水量も全国1位です。県面積のうち76%が森林で、南部には観光地として有名な日南海岸があります。宮崎県の産業は農業、畜産業、観光業が主要な柱になり、畜産業では宮崎牛が有名ですが養豚や養鶏も盛んです。そのような宮崎県の動物病院、獣医師数と宮崎県の統計について紹介したいと思います。

目次

  1. 宮崎県の統計データ(2023年10月)
  2. 宮崎県の特徴
  3. 動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
  4. 近隣の大学病院
  5. まとめ

宮崎県の統計データ(2023年10月)

①人口、面積

人口:1,040,218人(35位 日本の総人口の約0.7%、人口密度:134.62人/km2)
1位 宮崎市 401,591人(人口密度:616.71人/km2)
2位 都城市 160,736人(人口密度:242.54人/km2)
3位 延岡市 118,450人(人口密度:130.25人/km2) 
     
面積:7,735.32km2(14位)
1位 延岡市 868.02km2
2位 都城市 653.36km2
3位 宮崎市 643.67km2
             

②人口増減

1.人口推移
宮崎県の人口は2023年10月時点で104万0,218人となり、2020年比で29,358人の減少となりました。宮崎県の人口は1985年の117万人をピークに、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比14.5%減の88万8,718人、2050年には23.4%減の79万6,631人になると予測されています。

2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の宮崎県の高齢化率は32.6%で、高齢者65歳以上)人口は約35万人となっています。2040年には高齢化率が38.5%で約34万人、2050年には40.8%で約33万人になる見込みです。少子化が進み、高齢化率が高くなると、結果として労働者年齢層が減っていきますので、人口減少対策が急がれています。

2)出生率
2023年度の厚生労働省の発表によると、宮崎県の出生数は6,552人で、前年より約603人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比8.4%ダウンしました。2023年の出生率は1.63で全国順位2位で、全国平均1.30を上回っています。宮崎県の出生率が全国平均に比較して高い理由として、20歳代の女性の有配偶者率が高く、第3子、第4子が多いことがあげられます。ほかには子育て環境が良いなどの県全体の取り組みの影響も大きいでしょう。

宮崎県の特徴

①地理的・産業的特徴

宮崎県は九州地方の東部に位置し、豊かな自然環境や多様な地理的特徴があります。霧島山系が県の中央部に広がっており、標高の高い山が連なっています。県面積の約76%が森林となっています。平野は県の南部に宮崎平野が広がっており農業が盛んです。特に日向市周辺は土地が肥沃で農業が盛んです。東側は太平洋に面しており漁業も盛んですが、海水浴などでもにぎわいます。気候は温暖で、平均気温は17度、快晴日数は全国トップクラスで太陽に恵まれた地域です。
宮崎県は農業・観光業・畜産業が盛んです。農業は特に日向市周辺で米・野菜・果物の栽培が盛んです。また、宮崎牛は高級ブランドの和牛で、肉質が評価され宮崎の畜産業の重要な位置を占めています。さらに、宮崎県には日本有数の牧場があり出荷数もさることながら、観光牧場として観光客も多く訪れています。観光では、歴史的な観光地も多く天岩戸神社、高千穂峡、都井岬、青島などが有名です。

②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)

令和5年の1人平均月間現金給与総額は、237,613円で、前年同月比1.5%増でした。
令和5年10月1日より最低賃金が853円から897円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので107円安で40位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、宮崎県についての指数では平均100.0よりも下回り96.1で最も低いです。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは宮崎市で6.0万円、同地域の3LDKでは7.3万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考えて住む場所を決定していく方が良いでしょう。

動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)

①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況)

142件(産業動物 88件、小動物 54件) 全国36位(小動物のみ)

②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況)

産業動物、小動物診療施設の合計で166名(産業動物 77人、小動物 86人、その他の動物 7人)

③宮崎県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)

雇用獣医師数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10~ 合計
宮崎県の施設数632581110002101
全国平均数168.753.316.68.55.33.62.51.516.8-
雇用獣医師数 宮崎県の施設数全国平均数
163168.7
22553.3
3816.6
418.5
515.3
613.6
702.5
801.5
901
10~26.8
合計101-

宮崎県の動物病院数と全国平均を比較してみましょう。
宮崎では就業獣医師数が166人、うち101人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が65人と多いと言えるでしょう。宮崎県の動物病院では、獣医師1名の病院が7割を超え、獣医師が複数勤務している病院の方が少ない状態です。しかし、10人以上の獣医師が勤務する病院が2件あるので、獣医師数の人数から考えると小規模病院から大規模病院まで満遍なくあるといえるでしょう。産業動物の診療施設が多いので、産業動物の獣医師として勤務したい場合は、ぜひチャレンジしてください。

④犬の登録数と獣医師の関係

1.犬の登録数
登録頭数:54,649頭
狂犬病予防注射頭数:40,172頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
541頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
7.0件(37位)

近隣の大学病院

宮崎県には宮崎大学農学部獣医学科があり、附属動物病院がありますのでこちらを紹介します。

①所在地

〒889-2155 宮崎県宮崎市学園木野花台1-1
TEL:0985-58-7286
HPはこちら

②診療科目と診療日

1. 診療科目 
【小動物診療科】
 ・総合診療科 ・外科 ・内科 ・画像診断科 ・眼科 ・麻酔科
【産業動物診療科】
 ・産業動物総合診療科 ・産業動物外科 ・産業動物臨床繁殖科 ・産業動物生殖内分泌科 ・牛群検診

2.診療日
月~金曜日(土日祝は休診)
9:00~12:00 / 13:00~16:30
(担当獣医師ごとに異なります)

③受診方法

かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。

まとめ

宮崎県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。宮崎県の動物病院数は全国36位です。人口10万人当たりの動物病院数は7.0件で、人口当たりの動物病院数は少な目で全国順位では37位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は541頭と東京の195頭に比較すると3倍となり、診療担当可能な動物の数が多いので、多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。畜産が盛んな県ですので、産業動物を対象とする病院が多くあり、産業動物の診療を志す獣医師には転職の機会も多いと言えます。宮崎県の近隣には鹿児島大学に獣医学部があり研修医の受け入れなどもありますので、専門的な勉強をする機会にも恵まれます。就職、転職の際の参考にしていただければ幸いです。

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