動物病院と統計2024.04.16
鹿児島県の統計と動物病院
鹿児島県は日本本土の西南部に位置しています。薩摩半島、大隅半島の二つの半島と、種子島、屋久島、奄美大島をはじめとする多くの離島があり、人が住んでいる離島も28あります。桜島が有名ですが、健全度が火山灰堆積物に覆われており、約半分はシラス台地になっています。九州で一番広い鹿児島県の動物病院、獣医師数と鹿児島県の統計について紹介したいと思います。
鹿児島県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,577,975人(24位 日本の総人口の約1.3%、人口密度:179.4人/km2)
1位 鹿児島市 593,128人(人口密度:1,083.6人/km2)
2位 霧島市 123,135人(人口密度:207.1人/km2)
3位 鹿屋市 101,096人(人口密度:225人/km2)
面積:9,188.82km2(10位)
1位 薩摩川内市 683.50km2
2位 霧島市 603.68km2
3位 鹿児島市 547.07km2
②人口増減
1.人口推移
鹿児島県の人口は2023年10月時点で157万7,975人となり、2020年比で10,281人の減少となりました。鹿児島県の人口は1955年の204.4万人をピークに、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比17.0%減の130万9,427人、2050年には25.8%減の117万0,602人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の鹿児島県の高齢化率は32.5%で、高齢者65歳以上)人口は約51万人となっています。2040年には高齢化率が38.8%で約51万人、2050年には41.2%で約48万人になる見込みです。鹿児島県でも高齢化は進んでいますが、高齢化が進むスピードは他府県に比較すると比較的急と言えるでしょう。
2)出生率
2023年度の厚生労働省の発表によると、鹿児島県の出生数は11,638人で、前年より約360人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比8.4%ダウンしました。2023年の出生率は1.54と全国順位6位で、全国平均1.26を上回っています。鹿児島県の出生率が全国平均に比較して高いのですが、2.81という出生率の徳之島・伊仙町を除きやはり少子化は進んでいます。その要因としては晩婚化や未婚率の高さがあげられます。鹿児島県が未婚者に取った統計によると、結婚の希望はあるが出会いがないなどが結婚しない理由のトップになっています。
鹿児島県の特徴
①地理的・産業的特徴
鹿児島県は九州地方の西南部に位置し、本土の九州島の薩摩・大隅地方と離島の薩南諸島(種子島・屋久島地方と奄美地方)に分かれます。本土は霧島山を除きシラス台地の地質からなっています。島数は605個で、最北端は獅子島、最南端は与論島で、有人島で最大は奄美大島です。南北の距離は600㎞で、島と本土を合わせた面積は9,187km2で、面積は西日本では最大、全国都道府県でみると10位です。
鹿児島は活火山の桜島が有名ですが、他にも噴火活動の頻度の高い火山が多く存在します。そのため、温泉が多く泉源の数は約2,730で、大分県に次ぎ全国2位です。
鹿児島県の気候は、本土では冬は比較的温暖で真夏日は長く続くものの猛暑日はそれほど多くなく、最高気温も38℃台であることが多いです。また、夏から秋にかけては台風の影響を受けることが多いです。
鹿児島のおもな産業は農業で、農業産出額は北海道に次いで全国2位です。肉用牛、豚肉などは全国1位の産出額です。また、温泉が多く観光業も盛んです。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、225,354円で、全国平均の約27万円と比較すると低くなっています。
令和5年10月1日より最低賃金が853円から897円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので106円安で40位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、鹿児島県についての指数では平均100.0を下回り96.5で、平均月間現金給与総額や時給を考えるとバランスがとれているといえるのではないでしょうか。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは鹿児島市で6.3万円、同地域の3LDKでは8.5万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況)
182件(産業動物 108件、小動物 74件) 全国12位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況)
産業動物、小動物診療施設の合計で334名(産業動物 139人、小動物 188人、その他の動物 7 人)
③鹿児島県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鹿児島県の施設数 | 100 | 32 | 10 | 2 | 0 | 2 | 1 | 0 | 1 | 3 | 151 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 鹿児島県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 100 | 168.7 |
2 | 32 | 53.3 |
3 | 10 | 16.6 |
4 | 2 | 8.5 |
5 | 0 | 5.3 |
6 | 2 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 1 | 1 |
10~ | 3 | 6.8 |
合計 | 151 | - |
鹿児島県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
鹿児島では就業獣医師数が334人、うち188人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が139人で小動物診療を希望する獣医師の割合が多いですが、産業動物に従事する獣医師数も多いのは酪農が盛んな県ならではと言えるでしょう。鹿児島県の動物病院では、獣医師1名の病院が6割を超え、獣医師が複数勤務している病院の方が少ない状態ですが、大規模な動物病院から一人診療施設までまんべんなくある状態です。将来、自分がどのような獣医師を目指すのかをしっかり考えて勤務希望先を考えましょう。産業動物の診療施設が多くありますので、産業動物の獣医師を目指す方も視野に入れましょう。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:70,895頭
狂犬病予防注射頭数:52,446頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
377頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
23.5件(1位)
鹿児島大学共同獣医学部付属動物病院
鹿児島県には鹿児島大学共同獣医学部附属動物病院があります。平成24年に鹿児島大学農学部附属動物病院から名称を変更しました。また、夜間診療も受け付けています。
①所在地
〒890-0065 鹿児島市郡元一丁目21番24号
TEL:099-285-8750(月~金曜日 8:30~17:00)
FAX:099-285-8751(24時間受付)
※ 夜間診療の番号は別の番号です。
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
・内科系、外科系 ・歯科、口腔外科 ・臨床検査(画像診断、臨床病理) ・遺伝子検査 ・馬診療科 ・牛、山羊診療科
2.診療日
月~金曜日(土日祝は休診)
9:00~11:00 / 14:00~16:00
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。 (情報は変わることがありますので、必ずHPをご確認ください)
④夜間診療
診療日 / 月曜日~金曜日(土・日・祝日・大学の休業日を除く)
診療時間 / 夜間19:00~24:00まで、深夜24:00~翌朝6:00まで
夜間専用電話 / 099-285-8671
※通常の診療の番号とは異なります。
※深夜24:00から翌朝6:00までは、アニクリ24夜間電話対応窓口につながります。
夜間診療について - 鹿児島大学共同獣医学部附属動物病院
まとめ
鹿児島県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。鹿児島県の動物病院数は全国20位で人口を考えると動物病院数が多いと言えるでしょう。人口10万人当たりの動物病院数は15.7件で、人口当たりの動物病院数は少な目で全国順位では12位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は377頭と東京の195頭に比較すると約2倍となります。人口10万人当たりの動物病院数は全国1位ですので、年間で担当できる動物の数が少なく一症例をじっくり診察可能と言えるでしょう。産業動物の診療施設数も多いので、産業動物を視野に入れている獣医師は勤務先として考えてみてもよいでしょう。転職や就職活動の際には病院見学を重ね、じっくり検討しましょう。