動物病院と統計2024.04.05
熊本県の統計と動物病院
熊本県は九州本島の中央部に位置し、福岡・大分・宮崎・鹿児島の各県と接しています。東部の阿蘇地方には日本第2位の阿蘇カルデラを持つ阿蘇山や九州山地の山々があります。中心都市である熊本市は、市域の70万人超えの人口を支える水道水が全て地下水でまかなわれている世界でも稀有な都市です。気候は温暖ですが冬と夏の差が激しく、冬の気温は緯度の割には寒冷です。阿蘇山など自然豊かな熊本県の動物病院、獣医師数と人口統計について紹介したいと思います。
熊本県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,706,741人(23位 日本の総人口の約0.7%、人口密度:241.1人/km2)
1位 熊本市 737,120人(人口密度:1,892.3人/km2)
2位 八代市 130,644人(人口密度:192.0人/km2)
3位 天草市 86,417人(人口密度:126.5人/km2)
面積:7,404.79km2(15位)
1位 天草市 683.28km2
2位 八代市 680.60km2
3位 山都町 544.83km2
②人口増減
1.人口推移
熊本県の人口は2023年10月時点で170万6,741人となり、2020年比で31,560人の減少となりました。熊本県の人口は1956年の190.3万人をピークに、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比12.5%減の149万2,907人、2050年には20.6%減の135万5,329人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の熊本県の高齢化率は31.4%で、高齢者65歳以上)人口は約55万人となっています。2040年には高齢化率が36.7%で約41万人、2050年には38.8%で約52万人になる見込みです。熊本県でも高齢化は進んでいますが、高齢化が進むスピードは他府県に比較すると比較的緩やかと言えるでしょう。
2)出生率
厚生労働省の2023年度発表によると、熊本県の出生数は12,670人で、前年より約341人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比8.4%ダウンしました。2023年の出生率は1.52で全国順位8位であり、全国平均1.26を上回っています。熊本県の出生率が全国平均に比較して高いのですが、やはり少子化は進んでおりその要因としては晩婚化や未婚率の高さがあげられます。熊本県が未婚者に取った統計によると、「結婚の希望はあるが出会いがない」などが結婚しない理由のトップになっています。
熊本県の特徴
①地理的・産業的特徴
熊本県は九州地方の中西部に位置し、県の東部には世界最大級のカルデラを持つ阿蘇山があり、火の国とも呼ばれています。また、南西部には大小合わせて130にも及ぶ島々からなる天草諸島があり天草諸島があり、キリシタンまつわる史跡が多く残されています。また、市中心部には日本三大名城のひとつ、熊本城が保存されています。
熊本県は有数の農業県で農業産出額では北海道、茨城県、千葉県、鹿児島県に次いで全国第5位に入っています。野菜、果物、肉用牛や牛乳など多くの生産物が農業産出額の上位10品目に入って今うs。水産業では主に有明海、天草灘で、様々な漁業が営まれています。魚を増やすために稚魚を育てて海に放流し、計画的に漁獲を勧める方法がとられています。工業はそれほど盛んではなく、製造品出荷額等は回に入ります。最近では太陽光電池関連産業の振興に力を入れています。
気候は県内全域が太平洋側機構に属し温暖ですが、冬と夏の寒暑の差が激しいです。冬の気温は緯度の割には厳しいです。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、225,251円で、全国平均の約27万円と比較すると低くなっています。
令和5年10月1日より最低賃金が853円から898円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので106円安で37位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、熊本県についての指数では平均100.0を下回り98.9で、平均月間現金給与総額や時給を考えると物価が高いと言えるでしょう。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは熊本市で7.5万円、同地域の3LDKでは9.0万円です。近県と比較すると、家賃は平均的と言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況)
280件(産業動物 133件、小動物 147件) 全国20位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況)
産業動物、小動物診療施設の合計で280名(産業動物 92人、小動物 187人、その他の動物 1 人)
③熊本県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
熊本県の施設数 | 92 | 39 | 11 | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 2 | 149 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 熊本県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 92 | 168.7 |
2 | 39 | 53.3 |
3 | 11 | 16.6 |
4 | 3 | 8.5 |
5 | 0 | 5.3 |
6 | 1 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 2 | 6.8 |
合計 | 149 | - |
熊本県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
熊本では就業獣医師数が280人、うち187人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が92人で小動物診療を希望する獣医師の割合が多いですが、産業動物に従事する獣医師数も多いのは酪農が盛んな県ならではと言えるでしょう。熊本県の動物病院では、獣医師1名の病院が6割を超え、獣医師が複数勤務している病院の方が少ない状態ですが、大規模な動物病院から一人診療施設までまんべんなくある状態です。将来、自分がどのような獣医師を目指すのかをしっかり考えて勤務希望先を考えましょう。産業動物の診療施設が多くありますので、産業動物の獣医師を目指す方は熊本県での就職を視野に入れても良いでしょう。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:82,328頭
狂犬病予防注射頭数:60,915頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
560頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
15.7件(9位)
近隣の大学病院
熊本県には獣医学部のある大学がないので、隣県の宮崎大学農学部獣医学科付属動物病院をご紹介します。
①所在地
〒889-2155 宮崎県宮崎市学園木野花台1-1
TEL:0985-58-7286
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
【小動物診療科】
・総合診療科 ・外科 ・内科 ・画像診断科 ・眼科 ・麻酔科
【産業動物診療科】
・産業動物総合診療科 ・産業動物外科 ・産業動物臨床繁殖科 ・産業動物生殖内分泌科 ・牛群検診
2.診療日
月~金曜日(土日祝は休診)
9:00~12:00 / 13:00~16:30
(担当獣医師ごとに異なります)
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。 (情報は変わることがありますので、必ずHPをご確認ください)
まとめ
熊本県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。熊本県の動物病院数は全国20位で人口を考えると動物病院数が多いと言えるでしょう。人口10万人当たりの動物病院数は15.7件で、人口当たりの動物病院数は少な目で全国順位では9位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は560頭と東京の195頭に比較すると約3倍となり、診療担当可能な動物の数が多いので、多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。産業動物の診療施設数も多いので、産業動物を視野に入れている獣医師は勤務先として考えてみてもよいでしょう。転職や就職活動の際には病院見学を重ね、じっくり検討しましょう。