動物病院と統計2024.04.02
長崎県の統計と動物病院
長崎県は九州の西端に位置し、独自の歴史や文化、そして景観をもつ都市です。五島列島、壱岐島、対馬などの多くの島があり、47都道府県で最も島が多いことで知られています。海岸線の長さは北海道に次ぐ2位です。南西方向から暖流の対馬海流が流入しているので、全般的に気候は温暖で寒暖差そのような長崎県の動物病院、獣医師数と長崎県の統計について紹介したいと思います。
長崎県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,306,060人(35位 日本の総人口の約0.7%、人口密度:306.54人/km2)
1位 長崎市 401,195人(人口密度:1,008.71人/km2)
2位 佐世保市 240,473人(人口密度:.570.9人/km2)
3位 諫早市 134,691人(人口密度:391.6人/km2)
※最も人口密度が高いのが長与町で、1420人/km2です。
面積:4,131.32km2(37位)
1位 対馬市 708.6km2
2位 佐世保市 426.1km2
3位 五島市 420.0km2
②人口増減
1.人口推移
長崎県の人口は2023年10月時点で129万6,117人となり、2020年比で16,200人の減少となりました。長崎県の人口は1960年の176万人をピークに、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比21.8%減の101万2,372人、2050年には32.9%減の86万8,817人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の長崎県の高齢化率は33.0%で、高齢者65歳以上)人口は約43万人となっています。2040年には高齢化率が40.9%で約41万人、2050年には43.4%で約37万人になる見込みです。少子化が進み、高齢化率が高くなると、結果として労働者年齢層が減っていきますので、人口減少対策が急がれています。
2)出生率
2023年に発表された厚生労働省の統計によると長崎県の出生数は8,174人で、前年より約808人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比8.4%ダウンしました。2023年の出生率は1.64と全国順位4位で、全国平均1.30を上回っています。長崎県の出生率が全国平均に比較して高いのですが、やはり少子化は進んでおりその要因としては晩婚化や未婚率の高さがあげられます。長崎県が未婚者に取った統計によると、結婚の希望はあるが出会いがないなどが結婚しない理由のトップになっています。
長崎県の特徴
①地理的・産業的特徴
長崎県は九州の西端で佐賀県と東側で隣接しています。島が非常に多く、2023年発表の国土地理院の調査によると、対馬、壱岐、五島列島などの島嶼が1,479あり、日本一の島の数です。また、リアス式海岸で港湾の数が83箇所と海との縁が深い県です。自然が豊かで、雲仙天草国立公園、壱岐対馬国定公園などがあります。様々な歴史背景があり、海外とのつながりも長くキリスト教の布教や出島など歴史の教科書にも登場することが多い県です。
気候は暖流である対馬海流が流入するため、全般的に温暖で寒暖差が小さいのが特徴です。しかし、アジア大陸が近いので寒波の影響を受けやすく真冬日が観測されることもあります。
産業の特徴としては、長崎市や佐世保市の造船所が有名ですが、最近では電子部品の生産も盛んになっています。先に紹介したようにリアス式海岸で豊かな漁場に恵まれており、水産業も盛んです。また、観光業では世界文化遺産に登録された端島炭鉱や軍艦島や独特のお祭りが有名です。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、226,478円で、全国平均の約27万円と比較するとやや低くなっています。
令和5年10月1日より最低賃金が853円から898円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので106円安で37位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、長崎県についての指数では平均100.0を下回り99.1で、平均月間現金給与総額や時給を考えると物価が高いと言えるでしょう。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは長崎市で7.5万円、同地域の3LDKでは9.8万円です。近県と比較すると、家賃は高いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況)
146件(産業動物 60件、小動物 92件) 全国33位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況)
産業動物、小動物診療施設の合計で141名(産業動物 31人、小動物 104人、その他の動物 6人)
③長崎県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
長崎県の施設数 | 63 | 22 | 6 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 92 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 長崎県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 63 | 168.7 |
2 | 22 | 53.3 |
3 | 6 | 16.6 |
4 | 1 | 8.5 |
5 | 0 | 5.3 |
6 | 0 | 3.6 |
7 | 0 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 0 | 6.8 |
合計 | 92 | - |
長崎県の動物病院数と全国平均を比較してみましょう。
長崎では就業獣医師数が141人、うち104人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が31人で小動物診療を希望する獣医師の割合が多いと言えるでしょう。長崎県の動物病院では、獣医師1名の病院が7割を超え、獣医師が複数勤務している病院の方が少ない状態です。5人以上の獣医師が勤務している病院がゼロですので、小規模な動物病院がほとんどですが充実した施設を持つ病院もあります。長崎県の動物病院に就職希望の場合は、しっかり下調べを行いましょう。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:57,778頭
狂犬病予防注射頭数:39,184頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
555頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
10.9件(36位)
近隣の大学病院
九州地方の獣医学科をもつ大学は宮崎大学、鹿児島大学の2つです。近いとは言えませんが、距離が最も近い山口大学動物医療センターを紹介します。
①所在地
〒753-8515 山口県山口市吉田1677-1
TEL:083-933-5931 FAX:083-933-5930
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
・外科 ・内科 ・繫殖科 ・放射線治療科 ・大動物診療科
2. 診療日
【外科系/放射線治療】火・木・金曜日(手術:月/水曜日)
【内科系】月・水・金曜日
診察受付時間:AM9:00~11:30
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。
まとめ
長崎県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。長崎県の動物病院数は全国33位です。人口10万人当たりの動物病院数は10.9件で、人口当たりの動物病院数は少な目で全国順位では35位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は555頭と東京の195頭に比較すると約3倍となり、診療担当可能な動物の数が多いので、多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。勤務獣医師数の多い病院がなく獣医師1名病院がほとんどで、2~4名の獣医師が勤務する病院の数も少ないため、就職先の幅は狭まりますが転職や就職活動の際には病院見学を重ね、じっくり検討しましょう。