動物病院と統計2024.02.27
大分県の統計と動物病院
大分県は九州の北東部に位置し、県の面積の約7割が林野となっており、くじゅう連山をはじめ多くの山々が連なる地域です。1級河川が多くあり水源豊かで、温泉が非常に多く、別府温泉や湯布院温泉が有名です。周防灘や伊予灘、豊後水道に面しており海岸線が非常に長く水産業も盛んです。製造業や半導体産業も盛んで、九州で唯一のコンビナートである大分コンビナートがあります。そのような大分県の動物病院、獣医師数と大分県の統計について紹介したいと思います。
大分県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,096,235人(34位 日本の総人口の約0.7%、人口密度:174.6人/km2)
1位 大分市 476,556人(人口密度:950.6人/km2)
2位 別府市 113,735人(人口密度:905.2人/km2)
3位 中津市 83,101人(人口密度:169.1人/km2)
面積:4,724.68km2(30位)
1位 佐伯市 903.1km2
2位 日田市 666.0km2
3位 豊後大野市 603.1km2
②人口増減
1.人口推移
大分県の人口は2023年10月時点で109万6,235人となり、2020年比で27,617人の減少となりました。大分県の人口は1955年の128万人をピークに一時期上昇しましたが、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比14.5%減の93万6,394人、2050年には23.3%減の84万1,343人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の大分県の高齢化率は33.3%で、高齢者65歳以上)人口は約37万人となっています。2040年には高齢化率が38.4%で約36万人、2050年には40.5%で約34万人になる見込みです。少子化が進み、高齢化率が高くなると、結果として労働者年齢層が減っていきますので、人口減少対策が急がれています。
2)出生率
2023年度の厚生労働省の発表によると、大分県の出生数は6,798人で、前年より約529人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比3.4%ダウンし、全国で33番目となっています。2023年の出生率は1.49で全国平均1.30を上回っていますが、前年の1.54を下回りました。減少の理由としては、若年層の他府県への流出や、出会いの場がないという理由からの婚姻率の低下も検討課題とされています。
大分県の特徴
①地理的・産業的特徴
大分県は「アジアの玄関口」である九州の北東部に位置し、北側は周防灘に、東側は伊予灘、豊後水道に面しているため、主として温暖な瀬戸内海性気候に属し、冬は晴天が多く、夏は大雨が特徴的です。 また、くじゅう連山をはじめ、由布岳などの山々に囲まれ「九州の屋根」と呼ばれるなど、面積の約7割を山林が占めています。これらの山系からの水流は、一級河川の筑後川、山国川、大分川などとなり、周辺部に豊富な水資源をもたらしています。 海岸線の総延長は774kmで、広大な干潟を持つ周防灘からリアス海岸の豊後水道まで変化に富んだ地形を有しています。 また、日本一の湧出量と源泉数を誇る温泉や貴重な文化財、自然が生み出した美しい景観など優れた観光資源に恵まれています。
高度経済成長期に大分コンビナートが形成され、電子工業や自動車関連企業が集積しています。農業方面では、一村一品運動がかつて行われ各地で特産品を生み出す試みがなされています。農産物では干しシイタケやカボスが有名です。酪農も盛んで、久住高原をはじめとする地域を中心都市、牛乳やや乳製品、ブランド牛として筑後牛が有名です。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、240,008円で、前年比2.6%増でした。
令和5年10月1日より最低賃金が854円から899円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので105円安で36位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、大分県についての指数では平均100.0よりも下回り97.5です。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは豊後高田市で6.1万円、同地域の3LDKでは6.2万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
①診療施設数
109件(産業動物 49件、小動物 60件) 全国28位
②就業している獣医師数の合計
産業動物、小動物診療施設の合計で160名(産業動物 47人、小動物 109人、その他の動物 4人)
③大分県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大分県の施設数 | 72 | 18 | 3 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 97 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 大分県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 72 | 168.7 |
2 | 18 | 53.3 |
3 | 3 | 16.6 |
4 | 1 | 8.5 |
5 | 0 | 5.3 |
6 | 0 | 3.6 |
7 | 2 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 1 | 1 |
10~ | 0 | 6.8 |
合計 | 97 | - |
大分県の動物病院数と全国平均を比較してみましょう。
大分では就業獣医師数が160人、うち109人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が73人と多いと言えるでしょう。大分県の動物病院では、獣医師1名の病院が7割を超え、獣医師が複数勤務している病院の方が少ない状態です。産業動物の獣医師として勤務したい場合は、ぜひチャレンジしてください。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:56,886頭
狂犬病予防注射頭数:37,314頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
521頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
15.7件(8位)
近隣の大学病院
大分県には獣医学部がある大学がなく、近隣の大学病院として宮崎大学農学部附属動物病院がありますのでこちらを紹介します。
①所在地
〒889-2155 宮崎県宮崎市学園木野花台1-1
TEL:0985-58-7286
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
【小動物診療科】
・総合診療科 ・外科 ・内科 ・画像診断科 ・眼科 ・麻酔科
【産業動物診療科】
・産業動物総合診療科 ・産業動物外科 ・産業動物臨床繁殖科 ・産業動物生殖内分泌科 ・牛群検診
2.診療日
月~金曜日(土日祝は休診)
9:00~12:00 / 13:00~16:30
(担当獣医師ごとに異なります)
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。
まとめ
大分県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。大分県の動物病院数は全国28位です。人口10万人当たりの動物病院数は15.7件で、人口当たりの動物病院数は過剰になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は597頭と東京の195頭に比較すると3倍となり、診療担当可能な動物の数が多いので、単純計算ではありますが多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。畜産が盛んな県ですので、産業動物を対象とする病院が多くあり、産業動物の診療を志す獣医師には転職の機会も多いと言えます。大分県の近隣には宮崎大学、鹿児島大学に獣医学部があり研修医の受け入れなどもありますので、専門的な勉強をする機会にも恵まれます。就職、転職の際の参考にしていただければ幸いです。