動物病院と統計2025.01.07
沖縄県の統計と動物病院
沖縄県は日本列島の南西端に位置し、最も面積の広い沖縄本島を中心に宮古島や石垣島などの150以上の島々から構成されています。年間を通して温暖な気候で、黒潮が北上する沖縄本島西側はサンゴ礁が広がります。気候は亜熱帯・海洋性気候で温暖で、南国ならではの野菜や果物生産が盛んです。
このような沖縄県の動物病院、獣医師数と沖縄県の統計について紹介します。
沖縄県の統計データ(2024年10月)
①人口、面積
人口:1,466,705人(25位 日本の総人口の約0.6%、人口密度:643人/km2)
1位 那覇市 317,625人(人口密度:7,673人/km2)
2位 沖縄市 142,752人(人口密度:2,872人/km2)
3位 うるま市 125,303人(人口密度:1,441人/km2)
面積:2,282.11km2 (44位)
1位 石垣市 229.15km2
2位 名護市 210.80km2
3位 宮古島市 203.90km2
②人口増減
1.人口推移
沖縄県の人口は2024年10月時点で146万6,705人となり、2020年比で775人とわずかな減少となりました。沖縄県は全国有数の増加傾向にある県でしたが、2023年に人口減少に転じました。しかし他府県に比較すると減少率は非常に小さく、国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2024年比2%減の143万8,171人、2050年には5%減の139万1,013人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
ア)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の沖縄県の高齢化率は22.6%で、高齢者(65歳以上)人口は約33万人となっています。2040年には高齢化率が30.8%で約44万人、2050年には33.6%で約47万人になる見込みです。
沖縄県でも高齢化が進んでおり、その進行は他県に比較してゆるやかです。現在の予測では、他府県に比較して全体に占める高齢者の割合はやく35%程度となる見込みで、高齢化率がやや低い県と言えるでしょう。
イ)出生率
厚生労働省発表の2024年度の沖縄県の出生数は12,549人で、前年に比べて1045人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比5.7%ダウンしました。
沖縄県の2023年の出生率は概算で1.6で、全国1位となっており、全国平均は1.20ですので、0.4ポイント上回っています。沖縄県は、若年結婚が多い、「子供は宝」という価値観の定着、地域サポートの充実などが出生率の高さにつながっているかもしれません。
沖縄県の特徴
①地理的・産業的特徴
沖縄県は沖縄本島や石垣島などをはじめとする150余りの島で構成されています。沖縄本島は、沖縄県の中では最大の面積を持つ島で、南北に細長い形をしており、最南端から最北端までの距離は約100㎞です。地形は島の軟部は比較的平地が多く、北部は山がちとなっています。
沖縄県は黒潮が流れる暖かい海に囲まれており、海洋の影響を強く受けるため、気候区分は亜熱帯海洋性気候に属し、高温・多湿であることが特徴です。梅雨時期の湿度は80%以上になり、冬場でも70%弱ですので年間を通じて非常に湿度が高い県です。年間降水量は約2000mmでスコールのような急激に激しい雨が降る傾向があります。年間平均気温は27度で、12~1月でも最低気温は15度前後です。
沖縄には川はありますが、地理的条件から流域面積が小さく、流路が長くなく急こう配で水の貯留能力が極めて小さく、雨はほとんどが海へ直接流出します。そのため水不足に悩むことがあります。
沖縄の農業は亜熱帯気候に適した作物が生産されており、サトウキビやパイナップル、マンゴーなどの生産が盛んです。また、沖縄の産業は観光やサービスといった第3次産業の割合が高く、就業者の約8割が第三次産業です。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、217,517円で、全国平均の約27万円と比較すると低くなっています。
令和6年10月1日より最低賃金が896円から952円に引き上げられます。
全国平均は1,055円ですので103円安く42位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、沖縄県についての指数では平均100.0を下回り99.0で、平均月間現金給与総額や時給を考えると物価水準は高いと言えます。
また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは那覇市で9.0万円、同地域の3LDKでは平均13.9万円で高めです。家賃相場は居住地域によって大きく異なりますので、住まいを探すときには家賃相場をしっかり確認した方がよいでしょう。近県と比較すると、家賃は総体的にやや高めです。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況 個人開業のみ)
145件(産業動物 71、小動物74件) 全国36位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況 )
産業動物、小動物診療施設の合計で182名(産業動物40人、小動物138人、その他の動物 4 人)
沖縄県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
沖縄県の 施設数 | 92 | 15 | 15 | 2 | 3 | 1 | 0 | 1 | 0 | 8 | 137 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 沖縄県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 92 | 168.7 |
2 | 15 | 53.3 |
3 | 15 | 16.6 |
4 | 2 | 8.5 |
5 | 3 | 5.3 |
6 | 1 | 3.6 |
7 | 0 | 2.5 |
8 | 1 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 8 | 6.8 |
合計 | 137 | - |
沖縄県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
沖縄では就業獣医師数が182人、うち138人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が40人です。沖縄県の動物病院では、獣医師1名の病院が約7割を占めていますが、複数名の獣医師が所属する病院も比較的多く、10名以上で診療に当たる病院数が8件あるのが特徴的です。
沖縄県には獣医学部のある大学はありませんが、近県では鹿児島大学に動物医療センターを併設した鹿児島大学がありますが、距離的に搬送に時間がかかり現実的ではないかもしれません。そのため、県内で高度医療まで対応する傾向が強く獣医師勤務数の多い動物病院が多くなっています。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数:63,141頭
狂犬病予防注射頭数: 32,930頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
457頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
13.5件 (14位)
まとめ
沖縄県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。
沖縄県は人口10万人当たりの動物病院数は13.5件で、全国順位では14位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は457頭と東京の195頭に比較すると約2.5倍となります。
沖縄県内の動物病院数は1人獣医師診療病院が全体の約7割ですが、勤務獣医師数が10名以上の大規模な病院も複数ありますので二次診療に携わる機会も多くあるのではないでしょうか。
沖縄県には獣医学部のある大学はないので、県内で高度医療まで行う傾向が強いです。また、沖縄には米軍基地がありますので基地勤務者が訪れる機会も多く英語が必須の場合もあります。よく確認しましょう。