動物病院と統計2024.06.12
岩手県の統計と動物病院
岩手県は東北地方の北部に位置し、北海道に次いで総面積が広い県です。しかし、住むことができる面積の割合が約25%と低い県で、約77%が森林地帯です。リアス式海岸が有名で、三陸沖は世界三大漁場のひとつです。地域によって気候が異なりますが冬場の冷え込みは厳しいと言えるでしょう。このような岩手県の動物病院、獣医師数と岩手県の統計について紹介します。
岩手県の統計データ(2023年10月)
①人口、面積
人口:1,163,024人(32位 日本の総人口の約0.96%、人口密度:76.14人/km2)
1位 盛岡市 289,731人(人口密度:327人/km2)
2位 奥州市 112,937人(人口密度:113人/km2)
3位 一関市 111,932人(人口密度:89人/km2)
面積:15,275.02km2 (2位)
1位 宮古市 1259.15km2
2位 一関市 1256.42km2
3位 奥州市 993.3km2
②人口増減
1.人口推移
岩手県の人口は2023年10月時点で116万3,024人となり、2020年比で47,510人の減少となりました。岩手県の人口は1961年の約145万人をピークに、緩やかな減少が続いています。国立社会保障・人口問題研究所によると2040年には人口が2023年比21%減の92万3,684人、2050年には32.7%減の78万3,242人になると予測されています。
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の岩手県の高齢化率は33.6%で、高齢者65歳以上)人口は約41万人となっています。2040年には高齢化率が41.8%で約39万人、2050年には45.9%で約36万人になる見込みです。岩手県でも高齢化は進んでいますが、高齢化が進むスピードは他府県に比較すると比較的急で、将来的には半数近くが高齢者となる見込みです。
2)出生率
2023年度の厚生労働省の発表によると、岩手県の出生数は5,432人で、前年より約356人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比5.7%ダウンしました。2022年の出生率は1.16で、前々年の1.21より0.05ポイント減となっています。全国平均は1.26ですので、0.1ポイント下回っています。岩手県の出生数は年々減少していますが、コロナ流行によるここ3年の婚姻率の低下が出生率にも響いているといわれています。それ以外にも若者の県外への転出が多いことも理由にあげられ、転出の歯止めの対策や子育て・共働きをしやすい環境の整備も課題となります。
岩手県の特徴
①地理的・産業的特徴
岩手県は東北地方の太平洋側に位置し全国で2位の総面積ですが、森林地帯の割合が約77%で居住可能地域が約23%と可住地面積割合が低いのが特徴です。内陸部には東北新幹線や東北縦貫自動車道などの高速交通インフラが整っています。
自然面では奥羽山脈や北上高地、那須火山帯などの山々が連なり、太平洋に面する海岸線は約708㎞ありリアス式海岸が有名で、三陸沖は世界三大漁場のひとつです。漁業が盛んでアワビは全国一位、わかめが全国第二位の漁獲高です。ほかに北上川や馬淵川沿いに広大な農業地帯も広がります。内陸部の那須火山帯周辺には温泉が多く、八幡平温泉郷などが有名です。
気候面では県土が広いため地域によって気候が異なります。奥羽山脈の山沿いの地域は冬は積雪量が多い豪雪地帯で、内陸部は夏と冬、昼と夜で温度差が大きいのが特徴です。県庁所在地のある盛岡市も冬はかなり冷え込み、1月の平均気温は0.2度まで下がります。
②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)
令和5年の1人平均月間現金給与総額は、241,032円で、全国平均の約27万円と比較すると低くなっています。
令和5年10月1日より最低賃金が854円から893円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので111円安で47位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、岩手県についての指数では平均100.0を上回り99.1で、平均月間現金給与総額や時給を考えると物価水準が高いと言えます。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは盛岡市で7.1万円、同地域の3LDKでは8.8万円です。近県と比較すると、家賃は平均的と言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。
動物病院に関する統計(令和5年12月31日現在 令和6年2月公開 獣医師の届け出状況)
①診療施設数(都道府県別飼育動物診療施設の開設届出状況)
158件(産業動物 102件、小動物 56件) 全国30位(小動物のみ)
②就業している獣医師数の合計(獣医師法第22条に基づく届出概況)
産業動物、小動物診療施設の合計で181名(産業動物 84人、小動物 94人、その他の動物 3 人)
③岩手県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)
雇用獣医師数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
岩手県の施設数 | 72 | 13 | 4 | 4 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 96 |
全国平均数 | 168.7 | 53.3 | 16.6 | 8.5 | 5.3 | 3.6 | 2.5 | 1.5 | 1 | 6.8 | - |
雇用獣医師数 | 岩手県の施設数 | 全国平均数 |
---|---|---|
1 | 72 | 168.7 |
2 | 13 | 53.3 |
3 | 4 | 16.6 |
4 | 4 | 8.5 |
5 | 1 | 5.3 |
6 | 0 | 3.6 |
7 | 1 | 2.5 |
8 | 0 | 1.5 |
9 | 0 | 1 |
10~ | 1 | 6.8 |
合計 | 96 | - |
岩手県の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
岩手では就業獣医師数が181人、うち94人が小動物診療施設勤務で、産業動物に従事する獣医師数が84人です。小動物診療施設勤務獣医師数と産業動物に従事する獣医師数がほぼ同じです。岩手県は牧場数が多く、畜産や養鶏も盛んです。その影響で産業動物に従事する獣医師数が多いと考えます。岩手県の動物病院では、獣医師1名の病院が6割を超え、獣医師が複数勤務している病院の方が少ない状態ですが、獣医師が10名以上いる病院もあり、岩手大学には獣医学部があります。将来、自分がどのような獣医師を目指すのかをしっかり考えて勤務希望先を考えましょう。
④犬の登録数と獣医師の関係
1.犬の登録数
登録頭数: 57,429頭
狂犬病予防注射頭数: 48,510頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
610頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
21.6件 (2位)
岩手大学附属動物病院
岩手県には岩手大学農学部共同獣医学科があり、岩手大学附属動物病院があります。診療科目は伴侶動物診療科、産業動物診療科、パピークラスです。1次診療動物病院からの完全予約制になっています。
①所在地
〒020-8550 岩手県盛岡市上田3-18-8
TEL:019-621-6238
HPはこちら
②診療科目と診療日
1. 診療科目
【伴侶動物診療科】
・一般内科 ・腎泌尿器内科 ・血液内科 ・皮膚科 ・循環器科 ・一般外科 ・神経科 ・腎泌尿器外科 ・整形外科 ・軟部、腫瘍外科 ・画像診断、放射線治療科
【産業動物診療科】
・個体診療の部 ・検診の部 ・牛群管理の部
【パピークラス】
2.診療日
月~金曜日(土日祝は休診・大学指定日休診)
9:00~11:00 / 13:00~15:00
【受付時間】 AM 9:00~11:00
【診療時間】 AM 9:00~12:00
※土曜、日曜、祝祭日は休診です。
③受診方法
かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。 (情報は変わることがありますので、必ずHPをご確認ください)
まとめ
岩手県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。岩手県は人口10万人当たりの動物病院数は21.6件で、人口当たりの動物病院数は平均的で全国順位では2位になっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は610頭と東京の195頭に比較すると約3倍となります。年間で担当できる動物の数が多く、多くの経験を積むことができるでしょう。岩手大学には連合獣医学科があり動物病院も併設されていますので、高度医療や研究に取り組むことも可能な環境です。転職や就職活動の際には病院見学を重ね、じっくり検討しましょう。