動物病院と統計2024.02.20

和歌山県の統計と動物病院

和歌山県は日本最大の半島である紀伊半島の西側に位置します。南は太平洋に面し、北は山が連なる非常に変化にとんだ地域です。南部は1年を通じてあたたかい気候のため、梅やミカンなどの栽培が盛んです。総面積に占める山地の割合が非常に大きく約80%が山地となっています。県北部は阪神工業地帯に属し、重化学工業が盛んです。そのような和歌山県の動物病院、獣医師数と和歌山県の統計について紹介したいと思います。

目次

  1. 和歌山県の統計データ(2023年10月)
  2. 和歌山県の特徴
  3. 動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
  4. 大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センター
  5. まとめ

和歌山県の統計データ(2023年10月)

①人口、面積

人口:891,620人(40位 日本の総人口の約0.7%、人口密度:188.72人/km2)
1位 和歌山市 356,858人(人口密度:1,669.9人/km2)
2位 田辺市 69,906人(人口密度:64.7人/km2)
3位 橋本市 60,863人(人口密度:450.1人/km2) 
     
面積:4,724.68km2(30位)
1位 田辺市 1,026.91km2
2位 有田川町 351.84km2
3位 日高川町 331.59km2
             

②人口増減

1.人口推移
和歌山県の人口は2023年10月時点で89万1,620人となり、2022年比で11,552人の減少となりました。和歌山県の人口は1996年の108万人をピークに28年間連続で減少しています。今後も緩やかに減少を続ける見込みです。2020年の人口922,584人に比較して、2040年には人口が21%減の72万8,026人、2050年には31.5%減の63万1,619人になると予測されています。

2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
国立社会保障・人口問題研究所の発表によると、2020年時点の和歌山県の高齢化率は33.4%で、高齢者65歳以上)人口は約31万人となっています。2040年には高齢化率が41.2%で約30万人、2050年には43.7%で約28万人になる見込みです。少子化が進み、高齢化率が高くなると、結果として労働者年齢層が減っていきますので、人口減少対策が急がれています。

2)出生率
2023年度の厚生労働省の発表によると、和歌山県の出生数は5,039人で、前年より約187人減少しました。全国の出生数合計は72.6万人で、前年度比3.6%ダウンし、全国で40番目となっています。2023年の出生率は1.43で全国平均1.30を上回っています。減少の理由としては、若年層の他府県への流出や、出会いの場がないという理由からの婚姻率の低下も検討課題とされています。

和歌山県の特徴

①地理的・産業的特徴

和歌山県は紀伊半島の西側に位置し、南北約106㎞、東西約94㎞、総面積の約80%を紀伊山脈を中心とする標高1,000メートルの山岳地帯が占めています。高野山、那智山といった古代から人々に親しまれた山々なども多く、広大な森林におおわれています。海岸線は入り組んだリアス式海岸で、潮岬を中心とした県南部の海岸は黒潮が流れ豊かな漁場となっています。気候は比較的穏やかで過ごしやすいですが、非常に降水量が多い地域もあります。
和歌山県県北部は阪神工業地帯に属し、重化学工業が盛んです。特に石油製品・石油製品製造業や鉄鋼業、化学工業などの出荷額が多く、和歌山県の製造品出荷額の約半分強を占めています。また、和歌山県は農業、水産業のどちらも盛んです。和歌山県の農業の特徴は果実の出荷数が多いことです。みかんの出荷金額は全体の約4割、梅の出荷金額は全体の3割となり、両者で全体の7割を占めています。みかん、梅、柿の出荷量は全国1位です。

②平均賃金(令和5年9月毎月勤労統計調査)

令和5年の1人平均月間現金給与総額は、257,262円で、前年比2.8%増でした。
令和5年10月1日より最低賃金が889円から929円に引き上げられました。全国平均は1,004円ですので75円安で27位です。総務省統計局が2023年に発表した消費者物価地域差指数によると、和歌山県についての指数では平均100.0よりも若干下回り99.2です。また、住居費は2LDKの場合、最も高いのは田辺市で5.9万円、同地域の3LDKでは7.5万円です。近県と比較すると、家賃は安いと言えるでしょう。住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。住居費、交通費、通勤時間などの兼ね合いをよく考え住む場所を決定していく方が良いでしょう。

動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)

①診療施設数

99件(産業動物 7件、小動物 92件)全国42位

②就業している獣医師数の合計

産業動物、小動物診療施設の合計で89名(産業動物 1人、小動物 81人、その他の動物 7人)

③和歌山県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)

雇用獣医師数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10~ 合計
和歌山県の施設数66184031000092
全国平均数168.753.316.68.55.33.62.51.516.8-
雇用獣医師数 和歌山県の施設数全国平均数
166168.7
21853.3
3416.6
408.5
535.3
613.6
702.5
801.5
901
10~06.8
合計97-

和歌山県の動物病院数と全国平均を比較してみましょう。
和歌山では就業獣医師数が89人、うち81人が小動物診療施設勤務です。1名の獣医師を雇用している病院は66件で割合としては72%で最も多く、2名以上の獣医師を雇用している動物病院が全体の28%を占めています。
和歌山県の動物病院では7名以上の獣医師がいる病院はゼロで、大きな規模の病院が非常に少なく、1名獣医師体制の病院が大部分をしめています。

④犬の登録数と獣医師の関係

1.犬の登録数
登録頭数:48,382頭
狂犬病予防注射頭数:29,594頭
2.小動物獣医療1人あたりの犬登録数
597頭/人
3.人口10万人あたりの動物病院数
9.7件(43位)

大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センター

和歌山県には獣医学部のある大学がありませんので、大阪府にある大阪公立大学獣医学部付属獣医臨床センターを紹介します。 
2022年4月1日に大阪府立大学と大阪市立大学が統合し大阪公立大学が誕生しました。それに伴い大阪公立大学に付属する獣医臨床センターも改名しました。地域の2次診療病院として11の診療科がありますが、2022年10月1日からりんくう動物救命医療協会と協働して夜間救急診療を開始しました。

①所在地

〒598-0048 大阪県泉佐野市りんくう往来きた1-58 大阪公立大学臨床センター
TEL:072-463-5082
HPはこちら

②診療科目と診療日

1.診療科目
・腫瘍科・軟部組織外科・神経、整形外科・眼科・循環器科・内科・大動物科・検査科・画像診断科・麻酔科・消化器科・夜間救急診療科・あんしん獣医療相談室

2.診療日
【腫瘍科】月・水・木・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【軟部組織外科】月・水・木・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【軟部組織外科】月・水・金(午前)曜日(手術:火曜日)
【眼科】木曜日
【循環器科】月曜日
【内科】月・火・水・木・金(午前)曜日
【画像診断科】木(午前)曜日
【大動物科】不定(かかりつけ獣医師と相談の上、診療日が決まります)

診察受付時間:
AM9:00~12:00(受付終了11:30)、PM13:00~17:00(受付終了 16:00)

③受診方法

かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。

まとめ

和歌山県の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。和歌山県の動物病院数は全国42位です。人口10万人当たりの動物病院数は9.7件で、1件当たりの人口は多い方です。獣医師1名当たりの犬の登録件数は597頭と東京の195頭に比較すると3倍となり、診療担当可能な動物の数が多いので、単純計算ではありますが多くの症例を担当することができる可能性が高いでしょう。獣医師が数多く在籍する病院の割合が低く、2次診療施設はあまり多くない状況です。就職、転職の際の参考にしていただければ幸いです。

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