動物病院と統計2023.10.17

北海道県の統計と動物病院

北海道は日本の最北端に位置し、周りを太平洋、日本海、オホーツク海に囲まれています。北海道は非常に広く日本面積の22.1%を占め、九州と四国を合わせたよりも広い面積を持っています。産業の面では「農業」「酪農業」「漁業」だけでなく、苫小牧から札幌にかけては工業地帯があります。さらに観光産業も盛んです。そのような北海道の動物病院、獣医師数と北海道県の統計について紹介したいと思います。

目次

  1. 北海道の統計データ(令和5年 国勢調査)
  2. 北海道の特徴
  3. 動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)
  4. 北海道大学動物医療センター
  5. まとめ

北海道の統計データ(令和5年 国勢調査)

①人口、面積

人口:5,139,913人(9位 日本の総人口の約4%、人口密度:65人/km2)
1位 札幌市 1,960,668人(人口密度:1,748人/km2)
2位 旭川市 327,960人(人口密度:438人/km2)
3位 函館市 248,106人(人口密度:366人/km2) 
     
面積:83,456km2(1位)
1位 北見市 1,427.41km2
2位 釧路市 1,363.29km2
3位 札幌市 1,119.22km2
             

②人口増減

1.人口推移
北海道県の人口は1995年の5,692,300人をピークにして減少傾向にあります。最も顕著なのは0~14歳世代の人口減少で、1975年の1,312,600人をピークとして、2020年には555,800人まで減少しています。2040年には428万人に減少することが予測されています。
     
2.高齢化率と出生率
1)高齢化率
北海道庁発表の「高齢者の現状と将来推移」によると、令和5年の65歳以上人口は168万8000人になる見込みで、高齢化率は32.9%となっています。最も高齢化率が高い市は夕張市で54.1%、最も低いのは千歳市の23.9%です。やはり、大都市圏の高齢化率は低い傾向にあります。

2)出生率
2022年9月16日、厚生労働省発表の発表の2021年度の北海道県の出生数は27,327人で、前年より2,433人減少しました。出生率は1.12で全国平均の1.30を下回り、東京都1.04、宮城県1.09に次いで全国3番目に低くなりました。今後、少子高齢化が進むことが予想されます。

北海道の特徴

①地理的・産業的特徴

北海道県は日本の最北端で、気候は全体的に低温で、夏が短く、冬が長く、西部では冬に雪が多く降ります。梅雨がなく、台風もめったに上陸しないのが特徴です。最低気温が0度未満が135日程、最高気温が0度未満が50日ほど、年平均気温は10度程度ですが、温暖化が進み最高気温が38.7度になるなど、気候の変動が起こっています。
十勝平野でとれるジャガイモを中心とした「畑作」、石狩・上川地方を中心とした「稲作」、根釧台地を中心とした「酪農業」、函館・根室・オホーツク沿岸では「漁業」が盛んです。ほかに「工業」も盛んですが、観光リゾート産業が多く、最近では情報処理など情報産業といった分野でも急成長しています。

②平均賃金(令和3年毎月勤労統計調査)

令和3年の1人平均月間現金給与総額は、251,490円でした。
令和5年10月1日より最低賃金が900円から941円に引き上げられます。全国平均は1,004円ですので59円低いです。総務省統計局が2020年に発表した消費者物価地域差指数では、北海道についての指数は101.0で全国3位で平均よりも上回り全国と比較すると物価は高いと言えます。札幌市の指数も全国平均を100としたときに約100.9で6位ですので北海道の都市部では関東圏と物価の面では変わりないといえるでしょう。また、住居費は1LDK~2DKの場合、北海道県の平均は6.1万円で、札幌市中央区では9万円と高めですが、それ以外の市では4~7万円となり住む場所によって生活費の負担は大きく変わります。

動物病院に関する統計(令和3年11月24日現在 令和2年獣医師の届け出状況)

①診療施設数

1,119件(産業動物 596件、小動物 523件)

②就業している獣医師数の合計

 産業動物、小動物診療施設の合計で892名(産業動物 226人、小動物 656人)

③北海道県における雇用獣医師数別の施設の状況(小動物診療病院のみ)

雇用獣医師数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10~ 合計
北海道の施設数3618828171256105523
全国平均数168.753.316.68.55.33.62.51.516.8-
雇用獣医師数 北海道の施設数全国平均数
1361168.7
28853.3
32816.6
4178.5
5125.3
653.6
762.5
811.5
901
10~56.8
合計523-

北海道の物病院数と全国平均を比較してみましょう。
北海道では就業獣医師数が892人、うち656人が小動物診療施設です。施設数は非常に特徴があり、1,119件のうち産業動物と小動物の割合がほぼ1:1で酪農が盛んな北海道の特徴が良く出ているといえるでしょう。
全国の動物病院の合計が12,616件で約8.8%が北海道県に存在します。産業動物の診療所は全国に4085件ありますが、北海道には596件あり約15%を占めています。小動物の病院よりも、産業動物の診療所の数が多いのも北海道ならではでしょう。

④犬の登録数と獣医師の関係

1. 犬の登録数
登録頭数: 241,556頭
狂犬病予防注射頭数: 159,217頭
2. 小動物獣医療1人あたりの犬登録数
358頭/人
3. 人口10万人あたりの動物病院数
11.3件(2位)

北海道大学動物医療センター

北海道大学動物医療センターは1912年に家畜病院として開設されました。多くの診察室・手術室な・検査機器などを備えた大規模な医療センターです。犬や猫などの家庭動物だけでなく、牛・馬・豚・鶏などの産業動物、その他野生動物や展示動物なども診療対象になっています。

①所在地

〒060-0819 北海道札幌市北区北19条西10丁目
TEL:011-706-5239
HPはこちら

②診療科目と診療日

1. 診療科目 
・一般内科・消化器内科・循環器、呼吸器内科・皮膚科・脳神経内科・血液内科
・内分泌内科・一般外科、軟部外科・総合腫瘍科・整形外科、神経外科 
・放射線治療外科・エキゾチックアニマル科・眼科 
2. 診療日
月~金曜日(土・日・祝・大学が定めた休診日)
8:30~11:30 
(診療科目ごとに診察曜日は異なります)

③受診方法

かかりつけ動物病院からの紹介予約制になります。紹介状がないと受診することはできませんので注意してください。

まとめ

北海道の紹介と動物病院の状況についてご紹介しました。人口10万人当たりの動物病院数は11.3件と全国2位で、東京の8.2件よりも多くなっています。獣医師1名当たりの犬の登録件数は358頭と東京の195頭に比較すると2倍近くあり、多くの症例を経験できるでしょう。北海道の動物病院は他府県に比べて産業動物の割合が多いことが特徴です。大動物の獣医師を目指す方は北海道の病院を検討してみてはいかがでしょうか。

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